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kanamoriさん
平均点: 5.88点 書評数: 2474件

プロフィール高評価と近い人書評おすすめ

No.674 8点 魔界転生- 山田風太郎 2010/07/07 23:30
柳生十兵衛三部作の第2作。
山風忍法帖の中で一般受けナンバーワンは本書でしょう。当初のタイトルは「おぼろ忍法帖」でしたが、映画化もありインパクトがある作中に出てくる忍法名に改題されたようです。
他の忍法帖と大きく異なるところは、設定自体が忍法魔界転生による剣豪たちの蘇生にありますが、物語中の活劇は忍法ではなく、剣劇が主体という本格的な剣豪小説の趣が強い点でしょうか。
天草四郎をはじめ宮本武蔵、荒木又右衛門など多彩な敵役の魅力も見逃せません。

No.673 8点 柳生忍法帖(上・下)- 山田風太郎 2010/07/07 23:30
柳生十兵衛三部作の1作目。
山風忍法帖はページ分量が多い作品ほど面白いというのが定説のようです。本書も大作ですが、忍法帖と銘打たれるほど忍法が出てこない点では異色です。
千姫の命を受けた十兵衛が、7人の女性の敵討の助太刀をするというのがメインプロットで、伝奇時代小説を思わせる波乱万丈の謀略戦が読みどころ。奇想天外さがない分、往年の時代小説ファンにも抵抗なく受け入れられる内容です。

No.672 7点 妖異金瓶梅- 山田風太郎 2010/07/07 23:29
中国宋代を時代背景にした艶笑譚を元ネタにした連作ミステリ。
連鎖式短編集を読んでいくうちに、いつの間にか長編ミステリに変貌していきます。豪商の妻と7人の妾の間で次々と殺人事件が発生する様は、だんだんマンネリ感が漂ってきて、ミステリ趣向よりも、ある女性の人物造形に引き込まれる創りになっています。

No.671 7点 明治断頭台- 山田風太郎 2010/07/07 23:29
山風の明治ものと言えば、史実の隙間に大胆なフィクションを織り込んだ謀略系の時代小説が大半ですが、本書は連作式の本格ミステリとなっています。
各編とも明治時代ならではの奇抜なアイデアに機械トリックを多用しているところが異色で、しかも最終話で単なる本格編ではないことが判明します。最後に作者のメッセージが現れている点では、他の明治ものに通じるところがあります。

No.670 8点 名探偵篇「十三角関係」- 山田風太郎 2010/07/07 21:54
ミステリ傑作選2(光文社文庫)。
著者唯一のシリーズ探偵・荊木歓喜先生ものの集大成。
表題作の長編「十三角関係」は、タイトル通りの複雑な人間関係の中に組み込まれた構図と、真犯人の動機の凄まじさが非常に印象に残る傑作。
短編の中では、「帰去来殺人事件」がずば抜けて面白い。探偵が事件とどのように関わるかという命題はクイーンを彷彿とさせ、差別用語がトリックに繋がるところは「獄門島」を連想しました。

No.669 7点 本格篇「眼中の悪魔」- 山田風太郎 2010/07/07 21:32
ミステリ傑作選1(光文社文庫)。
タイトルの”本格篇”は、必ずしも内容に沿っているとは思いませんが、次の”名探偵篇”とのかね合いでしょうか。とにかくファンには贅沢なラインナップです。
「誰でも出来る殺人」は、短編の連鎖式による長編ミステリで、現在の新本格もしくは折原一が書いたと言ってもいいほど先駆的なプロットで、最終話でのサプライズもお約束の構成。
夏目漱石とホームズが競演する「黄色い下宿人」はいまやパスティーシュの古典名作でしょう。
「厨子家の悪霊」のドンデン返しの連続技もすごいですね。

No.668 6点 夏の魔法- 北國浩二 2010/07/07 18:39
南国の離島を舞台にした恋愛ミステリ。
長編2作目ですが、デビユー作と比べて格段に文章がうまくなっていることに驚く。
特殊な病気に罹患した主人公の女性の心情描写には惹き込まれますし、島の情景描写も目に浮かぶようです。それだけに、ミステリとしての結末の付け方に若干の不満が残りました。

No.667 5点 リバース- 北國浩二 2010/07/07 18:26
物語が中盤以降に別の様相を呈してくるプロット創りの巧みさは評価できますが、ミステリの仕掛けとしては、伏線が丁寧過ぎるため真相が透けて見えるのが残念です。
現在流行りのタイプのミステリ趣向では、他の秀作と比較すると、どうしても分が悪い感じを受けます。

No.666 4点 ルドルフ・カイヨワの憂鬱- 北國浩二 2010/07/07 18:26
SF系の新人賞受賞作ですが、むしろミステリ寄りの作品。
近未来の米国を舞台に、先端医学をテーマにしたサスペンスをハードボイルドに近い文体で書いていますが、中心となる謀略は新味に欠け、硬い文章と相まって主人公の弁護士に感情移入できなかった。

No.665 5点 青い風景画- 仁木悦子 2010/07/06 22:01
ミステリ短編集(講談社文庫版)。
晩年に書かれた長めの短編5作収録されています。
なかでは、富豪の別荘での大胆なトリックが印象的な私立探偵・三影潤もの「青い風景画」が個人的ベスト。

No.664 5点 銅の魚- 仁木悦子 2010/07/06 21:52
ミステリ短編集(角川文庫版)。
収録6編のうち3編が子供視点の物語となっていて、相変わらず巧いです。
なかでは、一歳の妹の誘拐事件を小学生の兄の視点で描いた「誘拐犯はサクラ印」が印象に残りました。

No.663 7点 冷えきった街- 仁木悦子 2010/07/06 21:25
私立探偵・三影潤もの唯一の長編ミステリ。
短編ではあまり顕著ではありませんが、本書は著者がファンだというロス・マクを意識した複雑な家族関係を描いたハードボイルドになっています。
三影自身の暗い過去が明らかにされる点など、他のスマートな本格ミステリとはだいぶテイストが異なり、人物の書き込みにも厚みがあるように思いました。

No.662 6点 赤い猫- 仁木悦子 2010/07/06 18:00
ミステリ短編集(角川文庫版)。
角川文庫から出ている作者の文庫本の表紙絵は全て猫のイラストで統一されていることに気がついた。猫など出てこない作品が大半なんですが、それだけ乱歩賞作品の印象が強いということでしょうか。
本書は比較的後期の作品が6編収録されていますが、協会賞を受けた表題作の「赤い猫」、三影潤ものの「白い部屋」、仁木雄太郎もの「青い香炉」の3作は、いずれもが安楽椅子探偵もので、ほかにも面白い仕掛けがあり楽しめる。

No.661 6点 枯葉色の街で- 仁木悦子 2010/07/06 18:00
田舎出身の素朴な青年を主人公にした一種のミッシングリンクものの本格ミステリ。
拾った札入れの中の8枚の名刺の人物を訪ね歩くと殺人事件に巻き込まれというストーリーで、市井の名もなき人々を暖かい眼差しで見つめているのはいつものとおり。
清貧な昭和40年代初頭の香りが漂っています。

No.660 5点 三日間の悪夢- 仁木悦子 2010/07/06 18:00
ミステリ短編集(角川文庫版)。
主に70年代に発表された作品6編収録されています。
結婚してママになった悦子もの「ただ一つの物語」はオーソドックスな本格編といえますが、他はどちらかと言えばサスペンス重視で、人間そのものの謎がテーマではないかと思います。

No.659 6点 緋の記憶- 仁木悦子 2010/07/06 17:59
ミステリ連作短編集(講談社文庫版)。
私立探偵・三影潤シリーズは、今では出版芸術社から全三巻に纏められていますが、それまでは本書と角川文庫の「夏の終る日」にまとまって入っているものの、一部は他の作品集に混在しています。
本書は70年代後半に書かれた6編が収録されていて、仁木悦子なりのハードボイルド?が楽しめます。

No.658 6点 灯らない窓- 仁木悦子 2010/07/06 17:59
子供を主人公にしたミステリは著者の独擅場といえますが、多くは短編で書かれていて、ジュヴナイルを除くと、長編では本書しか思い浮かばない。
母親の殺人容疑と父親の冤罪疑惑を絡めたサスペンス風の物語は、小学生男子の視点で綴られるパートが活き活きとしていて、作者の本領発揮と言えます。
小さい妹を連れた小学生探偵はなんともいじらしい。

No.657 6点 夢魔の爪- 仁木悦子 2010/07/05 21:40
ミステリ短編集(角川文庫版)。
三影潤ものの表題作、仁木兄妹ものの「赤い痕」「虹の立つ村」などシリーズものも楽しめたが、編中のベストは「おたね」だろう。
ある不幸な過去を持つ女中の話から意外な事実が浮かび上がる物語は、殺人を描きながらもどこかほんわかしたテイストの他作品と一線を画する名作。

No.656 7点 二つの陰画- 仁木悦子 2010/07/05 21:25
飛びぬけた傑作はないけれど、駄作もない作者の長編の中では、個人的に一番よく出来ていると思った本格編。
檪健介夫婦が自身のアパート内で発生した密室殺人にいどむオーソドックスな集合住宅ものですが、それぞれ秘密を抱えるアパート住民たちの造形とミスリードぶりが冴えています。密室を構成する理由もナルホドーと感心しました。

No.655 6点 殺人配線図- 仁木悦子 2010/07/05 21:13
新聞記者・吉村駿作シリーズの長編ミステリ。
現在の事件から過去の隠された事件が浮かび上がってくる構成は、”日本のクリステイ”と称された作者の面目躍如です。
機械好きの少年が重要な役割を果たすなど、短めの長編ながら、いかにも仁木ミステリという感じをうけた。

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