皆さんから寄せられた5万件以上の書評をランキング形式で表示しています。ネタバレは禁止
していません。ご注意を!
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まさむねさん |
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| 平均点: 5.89点 | 書評数: 1282件 |
| No.962 | 5点 | 化学探偵Mrキュリー7- 喜多喜久 | 2021/08/21 21:10 |
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| シリーズ7作目。前回は長編でしたが、今回は短編集で、沖野准教授&七瀬舞衣のコンビとしての活躍はございません。準レギュラーに焦点を当てた短編集と言っていいかも。
各短編のタイトルを「(準レギュラー)と〇色の〇〇」といった形に統一したり、沖野の家庭教師時代の教え子との交流について時間軸を分けて挟み込んだりといった、工夫は認めるのですが、どうにも「ありがち」な手法。ミステリとしても消極的に評価せざるを得ないです。化学的な知識がないので詳細までは分からないけれども、きっとこういった流れで結末はこんな感じなのだろうと、想定しやすいのですよねぇ。何らかの捻りは欲しかったかな。甘々にして、この採点。 |
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| No.961 | 6点 | 神の悪手- 芦沢央 | 2021/08/14 18:18 |
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| 将棋をテーマにした短編集。結構裾野が広い作家さんなのだなぁ…というのが第一印象。でも、ちょっと意図を掴み切れない短編もあったりして、個人的にはちょっと消化不良な感じも受けたかな。 | |||
| No.960 | 6点 | ボーンヤードは語らない- 市川憂人 | 2021/08/09 10:48 |
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| このシリーズ初の、というか作者初の短編集。今のマリア&漣、それぞれの原点となった事件や、「ジェリーフィッシュは凍らない」の前日譚などが描かれています。
人種差別などの社会的なテーマも含んでいて、そういった側面での重みはあるのですが、ミステリーの部分はやや軽量か。登場人物の心情面を複雑にすればOKというものではないかな。それと、各短編のパターンが似すぎているかなぁ。 辛口っぽくなってしまいましたが、勿論筋立てはしっかりしているし、決して楽しめなかったわけではございませんので、誤解なきよう。 |
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| No.959 | 7点 | 樹のごときもの歩く- 坂口安吾 | 2021/08/01 23:44 |
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| 坂口安吾氏の未完の長編推理小説を高木彬光氏が引き継いで完結させたもの。引き継いだといっても、坂口氏の急逝を受け、江戸川乱歩氏が高木氏をご指名?したようで、全容が判る詳細メモがあったものでもないようなので、高木氏の苦労は相当なものであったと思われます。
高木氏の結論は、なるほど高木氏らしいし、ラストもビシッとしています。しかし、坂口氏が生前に奥様に打ち明けていた内容(犯人も含む)とは異なる結末にせざるを得なかったとのこと。奥様に打ち明けた内容が、本人が構想していた真相と完全に一致していたのか、今となっては誰にも分からず、それこそミステリー。その点を考えながら読み返してみるのも一興かと。 |
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| No.958 | 6点 | 新 謎解きはディナーのあとで- 東川篤哉 | 2021/07/28 22:51 |
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| 映像化もされた人気シリーズの続編。お久しぶりですね。
前シリーズとの相違点は、形式的には、天然キャラの後輩新米刑事「若宮愛里」刑事が登場したことでしょうか。とはいえ、ミステリとしての貢献度は高くなく、コミカルさの演出の効果を狙って…といった感じでしょうか。ちなみに、執事・影山の毒舌はそのままでしたが、ちょっとマイルドに、そして人間味を帯びてきたような気がしましたね。ドラマの影響なのでしょうか。風祭警部の貢献度?も無視できない。 各短編の出来栄えには幅がありましたが、総じて本格度を保っています。「五つの目覚まし時計」「煙草二本分のアリバイ」におけるロジックの転換が好印象。「墜落死体はどこから」の島荘感もイイ感じかな。 |
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| No.957 | 7点 | 運命の八分休符- 連城三紀彦 | 2021/07/25 11:47 |
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| 同一探偵が登場する連作短編集。連城氏の同種の作品集として思い浮かぶのは、夕萩心中に収録されている「陽だまり課事件簿」くらい。そういった意味でも、興味深く読ませていただきました。
探偵役は、ドングリ目に分厚い眼鏡の定職を持たない「軍平」くん。実際の読み方や漢字は違うものの、いずれも「しょうこ」とも読める5人の女性との切ない恋愛模様を描きながら、ミステリとしてキッチリと作り込まれています。ユーモラスで軽快な書きぶりながら、「画になる」シーンも多く、作者らしい構図の反転も十分に味わえます。数多くの名作短編を産み出しているだけに、作者の作品群の中で決して目立ちはしないけれども、初期の好短編集の一つと言えそうです。 |
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| No.956 | 6点 | 野球が好きすぎて- 東川篤哉 | 2021/07/11 12:03 |
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| これまでの作品でも、しばしば野球ネタ(殊にカープネタ)を活用してきた東川さん。今回は、タイトルどおり、野球ネタ一気通貫の短編集。何か楽しんで書いていそうだ。探偵役にカープ女子、刑事役にスワローズファンのおじさんとその娘を添えるという念の入れよう。パ・リーグをもう少し取り上げてほしかった…という願望もありましたが、プロ野球愛に満ちた書きぶりは嫌いじゃない(むしろ大好物)。「野球ファンあるある」的なところもいい。その分、プロ野球に興味のない方には、ちょっと辛いかも。
どの短編も、ミステリとしての一定の質は備えているのですが、ネタとしてはどうしても小粒。その中でも、一発ネタだけれども、短編としての使い方が巧みな「カープレッドよりも真っ赤な嘘」がベストかな。この短編が、有名ミステリ作家に褒められたりと好評だったことを受けて、年イチペースで続編短編を書き続け、この短編集に辿り着いた模様。ちなみに「有名ミステリ作家」がどなたなのか、ちょっと気になりますねぇ。 |
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| No.955 | 6点 | ビブリア古書堂の事件手帖Ⅱ扉子と空白の時- 三上延 | 2021/07/04 15:55 |
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| セカンドシリーズではありますが、栞子さんと大輔君の出番が多めです。ファーストステージと雰囲気が被りがちな一方で、絶妙な時間軸の設定と娘の扉子さんの存在で奥行きは増しているような気がしました。プロローグやエピローグを含めた構成の巧みさもあったかな。今回のテーマは「横溝正史」で、この点も興味深かったですね。 | |||
| No.954 | 7点 | 二重螺旋の誘拐- 喜多喜久 | 2021/06/22 22:53 |
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| なかなかの良作だと思います。
真相の一部(といっても、ほんの一部)は容易に想像がつくのですが、違和感が常につきまといます。とある書きぶりから「きっと、あの手法を使っているのだろう」と想定はしたものの、「いや、それでは辻褄が・・・違うのか?」と思わせられてしまい、あの事実には気づけなかった。伏線は十分にあったのですがねぇ。違和感の正体を、もっと慎重に吟味しとけば良かったなぁ。ミスリードにもやられましたねぇ。外角へのボール1つ分の出し入れで勝負され、見逃し三振に仕留められた気分(意味不明?)。でも、負けて悔しがれるって幸せですよね(これも意味不明?)。 ちなみに、甘めのラストについては、何か都合よすぎないか、本当に大丈夫なのかと思わずにはいられませんでした。これって、私だけじゃないはず。 |
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| No.953 | 6点 | 化学探偵Mrキュリー6- 喜多喜久 | 2021/06/20 20:57 |
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| シリーズ初の長編作品。
アメリカから四宮大学に留学してきたエリーを中心に物語は進みます。彼女は16歳。飛び級で大学に入学した科学の天才です。3年前に母国で偶然出会った四宮大学生を追い掛けて留学してきたのですが・・・。 今回の沖野准教授は、人間臭さが出ていて、何かカッコいい。温かい前向きな終わり方も良かったですね。 |
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| No.952 | 7点 | Dの殺人事件、まことに恐ろしきは- 歌野晶午 | 2021/06/14 21:33 |
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| 短編集。各短編とも、乱歩作品の現代版アレンジとして練られているし、高レベルにあると思います。作者らしさも随所に感じることができます。
ベストは表題作で、まさに最新鋭の?本格短編。締め方も作者らしい。「スマホと旅する男」の雰囲気も、乱歩作品のオマージュとして良質。「陰獣幻戯」の終盤でのたたみかけ具合も個人的には好きです。 |
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| No.951 | 6点 | 赤ずきん、旅の途中で死体と出会う。- 青柳碧人 | 2021/06/07 23:21 |
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| 昔話ミステリ第2弾。
前作のテーマが「日本昔話」だったのに対し、今回は「西洋童話」で、「シンデレラ」「ヘンゼルとグレーテル」「眠れる森の美女」「マッチ売りの少女」 が元ネタ。 前作との一番の違いは、探偵役を固定したことでしょうか(タイトルどおり「赤ずきん」が探偵役)。連作短編としてのメリットは当然ありましょうが、一方で、各短編の変化を付けにくい(思い切った設定変更がしにくい)デメリットも否定できない。まぁ、本作は連作短編として綺麗に締めた方が印象に残っていいのかも。各短編は、パロディのパターンが似通っている印象もありましたが、ファンタジックな側面を巧く活用したりして、結構楽しかったですよ。 |
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| No.950 | 6点 | 七丁目まで空が象色- 似鳥鶏 | 2021/06/05 10:26 |
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| 楓ヶ丘動物園シリーズ第5弾。研修のために訪れた山西動物園から象が脱走しちゃいます。象を逃がした犯人はだれか、その目的は何か、象は自らの意思でどこに向かおうとしているのか・・・等々の謎が、軽快な文書による個性的なメンバーたちの活躍も含めて楽しめます。気軽に読めるのもいい。 | |||
| No.949 | 6点 | パンドラ’Sボックス- 北森鴻 | 2021/05/25 22:12 |
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| ノンシリーズ短編集。バラエティに富んでいるとも言えるし、寄せ集めとも言えるのですが、個々の短編自体の印象は悪くなかったですね。個人的には、裏京都シリーズの原型となった短編を読めたのは良かったかな。
各短編の合間に、作者のエッセイが挟み込まれていたのも嬉しい。作家になろうとしたきっかけを含む前職(編集プロダクション)時代のお話、作家としての駆け出しの頃の苦労などなど、もはや作者から伺うことが叶わないだけに、コミカルな内容とは裏腹に、しみじみと読ませていただきました。 |
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| No.948 | 5点 | ガラッパの謎 引きこもり作家のミステリ取材ファイル- 久真瀬敏也 | 2021/05/16 11:53 |
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| 第18回このミス大賞の隠し玉作品。
引きこもり作家と幼馴染の男子大学生らが「鹿児島の隠れキリシタン」の新説に挑みます。九州の各地を舞台に、隠れキリシタンから、河童やヨッカブイ、そしてユダヤ教や一向宗にまで話は広がり、知的好奇心が刺激されました。その点は純粋に面白かった。 でも、そこはかとなく感じるラノベっぽさが、私としてはちょっとむず痒かったりも。(別名義でライトノベル作品を発表している作家さんだと読後に判明。なるほど。)歴史ミステリとしての好き嫌いは分かれるような気がします。ラストの尻切れ感もちょっとマイナス。散らかしたまま終わったような印象も。 |
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| No.947 | 6点 | 奇跡の男- 泡坂妻夫 | 2021/05/05 21:22 |
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| ノンシリーズの短編集。ユーモラスな筆致、そして反転の妙。作者の短編集の中ではそれほど目立たない存在かもしれせんが、肩肘張らずに読めるのでおススメですね。
マイベストは「狐の香典」。いかにも作者らしい作品で、余韻も印象的です。 |
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| No.946 | 6点 | 珈琲店タレーランの事件簿6- 岡崎琢磨 | 2021/05/02 16:14 |
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| タレーランのオーナー・藻川又次が突然狭心症で倒れ、緊急入院。又次は手術を前に弱気になったのか、又姪のバリスタ・切間美星に相談。4年前に他界した妻・千恵は、7年前に又次がコーヒーカップを割ったことに激怒し、1週間の家出をしていた。その理由は何だったのか、常連客のアオヤマとともに調査する美星だが…。
全体の流れとしては、無難にまとめているのだと思います。シリーズ6作品の中で移動距離は最も長く(といっても、京都・浜松・天橋立くらいだけど)、観光紹介めいた部分もあって、楽しくは読ませていただきました。でも何というか、結構な違和感を抱いたのですねぇ。ソコまで詮索するかねぇ…とか。何より、とあるお二人の行動って一般論としてどうなのよ…とか。それぞれの身勝手さを感じてしまうのは私だけなのでしょうか。 |
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| No.945 | 6点 | 孔雀狂想曲- 北森鴻 | 2021/04/24 19:53 |
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| 下北沢の片隅にある骨董品屋「雅蘭堂」を舞台とし、店主の越名集治が探偵役を担う連作短編集。各短編がコンパクトで後味も悪くないので、個人的にバタバタしていた時期の読書には適していました。いかにも作者らしい作品集で、安定感があります。もう絶対に続編を読むことができないのが残念です。 | |||
| No.944 | 5点 | 玉村警部補の巡礼- 海堂尊 | 2021/03/29 22:40 |
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| 作者の作品を読むのは相当に久方ぶり。個人的に、作者の強めの自己主張がちょっと辛くなりまして、正直避けていたのです。
しかし、今回のテーマは「四国遍路」。しかも各県1短編で成る短編集とのこと。嗚呼、お遍路!ずっと憧れていたのです。退職したら是非とも挑戦したいと思い続けているのです。本書を手にせざるを得なくなった、私の心情を何卒ご理解ください。(結局は、Ai以外の新たな自己主張も何気にあったのですが。) で、ミステリとしては、うーん、思っていたよりもその要素を織り込んでいたのだけれども、積極的な評価は敢えて避けようかな。結局、最終的な印象としては、ミステリ云々よりも、楽しそうにお遍路に勤しむ加納&玉村コンビが凄く羨ましかったなぁ…と。行きたいなぁ、お遍路。歩き遍路はストイック過ぎるし、バスツアー遍路も何となくアレなので、「基本的に歩くつもりだけれども、場合によっては(というか積極的に)公共交通機関を利用してみる遍路」って、甘えているのでしょうか。経験者がいらっしゃれば教えてください。 気付いたら、お遍路への隠しきれない憧れに偏った感想になってしまいました。スミマセン。 |
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| No.943 | 6点 | 血縁- 長岡弘樹 | 2021/03/14 20:49 |
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| 家族をテーマにした短編集。イイ話から黒い結末の話まで、幅広いです。
表題作がベスト。作者らしさという面では「文字盤」や「黄色い風船」に色濃く表れていました。最近の作者の短編集の中では上位に入ると思います。いくつか気になる「穴」もあったのですがね。 |
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