皆さんから寄せられた5万件以上の書評をランキング形式で表示しています。ネタバレは禁止
していません。ご注意を!
E-BANKERさん |
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平均点: 6.01点 | 書評数: 1809件 |
No.7 | 5点 | 北の狩人- 大沢在昌 | 2009/10/08 22:48 |
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本作の舞台も「新宿鮫シリーズ」と同様、歌舞伎町なのですが、夜の新宿が似合う鮫島警部と違い、秋田から出てきた田舎の青年が主人公です。
やっぱり「新宿鮫シリーズ」には敵うべくもない、というのが感想ですね。 主人公が真相を追う事件の真犯人も確かに意外性はあるんですが、「さもありなん」という設定という感じですし・・・作品自体の盛り上がりとか緊張感に欠けてます。 |
No.6 | 8点 | 炎蛹 新宿鮫V- 大沢在昌 | 2009/09/26 23:49 |
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シリーズ第5作。シリーズの中でも好きな作品の一つです。
いつも単独で行動する鮫島ですが、今回はパートナーとともに捜査に当たります。 防疫官の甲屋は、私の好きなサブキャラクターで、ハードボイルドタッチの本シリーズにはないユーモアを感じさせます。 あと、あのオカマ・・・ いつもながら、刑事という職に対する鮫島の真摯な姿は読み手を熱くさせます。 |
No.5 | 7点 | 屍蘭 新宿鮫III- 大沢在昌 | 2009/09/26 23:38 |
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シリーズ第3作。今度の殺人鬼はおばちゃんです。
新宿鮫シリーズの中では比較的地味めな作品ですが、鮫島警部が犯人グループの罠に落ち、刑事職を追われる一歩手前まで追い詰められます。 その時の藤丸刑事部長の言葉がいいです。警察組織で四面楚歌の鮫島に対して、救いの手が差し延べられ、「・・・君はいい刑事だ・・・」という台詞。 しかし、このシリーズを読んでいると、新宿という街が本当に恐ろしくなってきます。 |
No.4 | 8点 | 毒猿 新宿鮫II- 大沢在昌 | 2009/09/05 23:10 |
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「新宿鮫シリーズ」の第2作目。
台湾から来た殺し屋、その名も「毒猿」。シリーズ屈指の感動作。 ~歌舞伎町の女・奈美。孤独な彼女が心惹かれる外国人・楊は、謎の影を持つ男だった。一方、「新宿鮫」と恐れられる新宿署刑事・鮫島は、完璧な職業兇手(殺し屋)が台湾から潜入していることを知る。「毒猿」と呼ばれる男が動き始めた刹那、新宿を戦慄が襲う! 鮫島は恐るべき人間兇器の暴走を止めることができるのか?~ 「名作」の名に恥じない作品。 とにかく、新宿御苑を舞台に描かれるラストが秀逸。 傷を負いながらも、まさに神がかりの強さでヤクザたちを次々に血祭りにあげていく「毒猿」。そんな相手に、1人で挑んでいく孤高の男・鮫島! 何とも言えない緊張感が読者の心を捕らえて離しません。 そして、ついに迎える悲しい終局には美しささえ感じてしまう・・・ 本シリーズでは、1作品ごとに魅力的なサブキャラクターが登場しますが、本作では、台湾から「毒猿」を追ってやって来た刑事・郭がいい味出してます。 銃撃戦で鮫島の身代わりになり命を落としてしまう郭、そして「毒猿」の逮捕を鮫島に託すシーン・・・まさに名場面です。 胸が震えるようなシーンの連続! 感動を覚えること必死の作品。 |
No.3 | 8点 | 新宿鮫- 大沢在昌 | 2009/09/05 23:00 |
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まさに記念すべき「新宿鮫」シリーズの第1作目。
この作品が、この後20年以上も続いていく超人気シリーズになるとは、このとき誰が想像したでしょう。 ~ただ独りで音もなく犯罪者に食いつく・・・「新宿鮫」と恐れられる新宿署刑事・鮫島。歌舞伎町を中心に警官が連続して射殺された。犯人逮捕に躍起になる署員たちをよそに、鮫島は銃密造の天才・木津を執拗に追う。待ち受ける巧妙な罠。絶体絶命の鮫島。登場人物の圧倒的な個性と最後まで息をつかせぬ緊迫感~ もはや書評の必要もない作品でしょう。 大沢氏は本作発表まで、これといったヒット作にめぐまれず、不遇を囲っていた作家でしたが、それまでの鬱憤を全て晴らすが如く、才能を見事に開花。 いやぁ、とにかく登場人物がこれほど魅力的&個性的に書かれた作品(シリーズ)には、いまだにお目にかかれません。 そして、何とも言えない緊張感溢れる展開。 手に汗握りながら、終盤を迎え、感動のラストでは涙さえ流したくなる・・・ これぞ、エンターテイメントの到達点とさえ感じてしまいます。 本作では、改造銃の名手・木津に絶体絶命のピンチに追い込まれた鮫島を、普段は「昼行灯」と思われていた上司の桃井警部が救出するという、シリーズ通しての重要な場面が出てきます。(これだけでも必読) 孤独な闘いを強いられきた鮫島にわずかながらでも差してきた光明。 桃井や、藪、そして晶・・・今後のシリーズでも重要な人物たちもすべて登場。 本シリーズは、是非順番に読んでいただきたい! 中途半端な読書はして欲しくないとさえ言いたい!(それくらいの「思い」なのです) |
No.2 | 9点 | 無間人形 新宿鮫IV- 大沢在昌 | 2009/08/20 22:26 |
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新宿鮫シリーズのパート4。
何と、直木賞受賞(本作だけというよりシリーズ通してということですが)の記念すべき作品。 ~新宿の若者たちの間で、舐めるだけで効く新型覚せい剤が流行りだした。薬を激しく憎む新宿署刑事・鮫島は執拗に密売ルートを追う。一方、財閥・香川家の昇・進兄弟の野望、薬の独占を狙う藤野組・角の策略、麻薬取締官の露骨な妨害、そして恋人・晶は昇の手に・・・~ いやぁー、「直木賞」受賞に恥じないだけの、圧倒的な迫力!これぞ「新宿鮫シリーズ」でしょう。 今回も、登場人物の造形が冴えてますねぇー 「アイスキャンディー」という新型覚せい剤に人生を翻弄されていく人々・・・特に香川兄弟と晶の元バンドメンバー。 割と静かに流れていく前半とは裏腹に、中盤からはまるで激流に飲み込まれるように次々と登場人物たちが「ある場所」へ集まっていく・・・ どうしようもない「運命」に巻き込まれる人々と、運命に1人抵抗し、必死な捜査を続ける孤高の男・鮫島。 やっぱりカッコいいですよ。 お勧め! (今回は晶もかなりカッコいい!) |
No.1 | 9点 | 氷舞 新宿鮫VI- 大沢在昌 | 2009/08/07 22:29 |
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新宿鮫シリーズの6作目。
シリーズ中でも1,2を争う良作。緊張感ある展開にページをめくる手が震えさせられます。 ~西新宿のホテルで元CIAのアメリカ人が殺害される。事件の鍵を握る組員に迫る鮫島。しかし、なぜか公安警察が立ち塞がる。その背後には、元公安秘密刑事・立花の影が・・・捜査の過程で鮫島は、美しくも孤独な女性・杉田との出会い、惹かれていく。杉田と事件の関わりが浮上するなか、鮫島は核心 に挑む~ 説明不要な面白さ。特にラストは秀逸! 鮫島と杉田の悲しすぎるラブストーリー。シリーズファンであれば、「晶とはどうなるんだ?」という気持ちにもさせられますけど、杉田にどうしようもなく惹かれてしまう鮫島には”男”を感じてしまいます。 そして、もう1人本作の重要人物である、立花元公安刑事。悪役ですが、何とも言えないキャラクター。 とにかく作者の人物造形のスゴ腕を十二分に感じさせてくれます。 (これを読むと、余韻に浸りすぎて、しばらく呆然としてしまうんですよねぇ。それくらいすごい小説。) |