皆さんから寄せられた5万件以上の書評をランキング形式で表示しています。ネタバレは禁止
していません。ご注意を!
nukkamさん |
|
---|---|
平均点: 5.44点 | 書評数: 2866件 |
No.3 | 7点 | シャム双子の秘密- エラリイ・クイーン | 2009/05/08 11:53 |
---|---|---|---|
(ネタバレなしです) 1933年発表の国名シリーズ第7作は国名シリーズの中でも屈指の異色作です。まず「読者への挑戦状」がないこと(とはいえ謎解き伏線はちゃんと張っています)。そして閉ざされた山荘を舞台にして登場人物を限定していること。無駄に登場人物が多くてごちゃごちゃしている過去の作品に比べてかなり読みやすい作品です。秘密主義者と言ってもいいエラリーが早い段階から推理を披露しているのも珍しいです。山火事と謎解きとのサスペンスの相乗効果が秀逸です。 |
No.2 | 4点 | ローマ帽子の秘密- エラリイ・クイーン | 2009/03/27 14:10 |
---|---|---|---|
(ネタバレなしです) エラリー・クイーンはいとこ関係にあったフレデリック・ダネイ(1905-1982)とマンフレッド・リー(1905-1971)から成るコンビ作家で、単に米国本格派推理小説の黄金時代を代表する作家というだけでなくミステリー専門誌を発行して無名作家の発掘に力を注ぐなどミステリー界全体の振興に偉大な功績を残しています。1929年発表の本書がクイーンの記念すべきデビュー作で、「読者への挑戦状」を挿入して謎解き手掛かりを全てフェアーに提示したことを宣言した作品です。息子エラリーのヒントを基に父リチャードが真相を見抜くという、2人3脚探偵形式を採用しているのがこのシリーズとしては異例の試みです(本書以降は普通にエラリーが謎解きしてリチャードは脇役です)。エラリーを古書愛好家で会話の中にやたらと古典文学からの引用を混ぜる癖があるキャラクターにしていますが、これは当時人気絶頂だったヴァン・ダインの名探偵ファイロ・ヴァンスを意識した造形になっています(ちょっと意識しすぎだと思う)。登場人物が無駄に多くて(しかも個性が描けていない)非常に読みにくく、心地よくだまされたという快感よりもこんな物量作戦では犯人が当たるはずないという不満の方が強かったです。 |
No.1 | 7点 | 悪魔の報酬- エラリイ・クイーン | 2009/01/16 14:59 |
---|---|---|---|
(ネタバレなしです) 1938年発表のエラリー・クイーンシリーズ第12作はハリウッドを舞台にした作品で、国名シリーズやドルリー・レーン4部作とは全く雰囲気が違い、どたばたとお笑いに徹しているのが特徴です。おふざけが目立ち過ぎてクイーン作品の中では一般的評価は低い方ですが本格派推理小説としての手抜きはなく、クイーンならではの論理的な謎解きがちゃんと楽しめます。 |