皆さんから寄せられた5万件以上の書評をランキング形式で表示しています。ネタバレは禁止
していません。ご注意を!
nukkamさん |
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平均点: 5.44点 | 書評数: 2755件 |
No.4 | 6点 | 恐怖は同じ- カーター・ディクスン | 2015/03/29 20:59 |
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(ネタバレなしです) カーター・ディクスン名義での最後の作品となったのはヘンリー・メリヴェール卿シリーズではなく、1956年発表の歴史本格派推理小説である本書です。現代人が過去にタイムスリップするというのはジョン・ディクスン・カー名義の「ビロードの悪魔」(1951年)と同じ設定ですが、本書では現代の謎と過去の謎が提示されているのが特徴です。とはいえ謎解き要素はやや希薄で、特に現代の謎は推理も不十分なままに何となく解決されてしまったようなところがあります(過去の謎解きはまあまあだと思います)。しかし冒険小説としては一級品で、序盤から複雑なロマンス、皇族との対面、相次ぐ決闘とハラハラドキドキの場面が連続し、最後までテンションは落ちません。 |
No.3 | 5点 | パンチとジュディ- カーター・ディクスン | 2015/02/27 14:22 |
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(ネタバレなしです) 1936年発表のH・M卿シリーズ第5作で、前作の「一角獣殺人事件」(1935年)同様、ケンウッド(ケン)・ブレイクの冒険談的な要素が非常に強い作品です。次々に展開が目まぐるしく変わり、ピンチに次ぐピンチをケンがどうやってくぐり抜けるのか全く目が放せません。但し本格派推理小説としては出来があまり良くないのが難点。最大の問題点は10章と11章で、死体が遠く離れた場所に瞬間移動したかのような魅力的な謎が10章で提示されたと思ったら11章であまりにもお粗末なオチだったのには本当にがっかりさせられました。H・M卿が一人一人に誰が犯人かを推理させる終盤の場面なんかは謎解きのスリリングに満ち溢れているのですが、私にとってはあまりにも中盤の落胆度が大きかったです(それでも好きな作家なのでおまけして5点評価しちゃいますが)。 |
No.2 | 5点 | 孔雀の羽根- カーター・ディクスン | 2012/08/16 10:43 |
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(ネタバレなしです) 1937年発表のH・M卿シリーズ第6作の本格派推理小説で、警察監視状況下での密室殺人の謎が強烈です。非常に複雑なトリックで解決前にこれを読者が見破るのは難しいと思いますが。細かいところまで考え抜かれているのはさすがですが、(警察が)あるものを見落とす(気づかない)ことを前提としてあったりと結構綱渡り的だと思います(見落とす伏線も用意してはあります)。対照的に大胆な死体隠しトリックの方がシンプルゆえに印象に残りました。H・M卿へ挑戦状が送られたり手掛かり脚注を使っての謎解き説明があったりとトリック以外にも色々と趣向のある力作です。 |
No.1 | 8点 | 貴婦人として死す- カーター・ディクスン | 2009/01/14 11:07 |
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(ネタバレなしです) 1943年発表のヘンリー・メリヴェール卿シリーズ第14作で、なるほど中期の傑作と評価されるにふさわしい本格派推理小説でした。崖に向かって続く男女2組の足跡。だが戻ってくる足跡はなく、2人が心中と思われる死体となって発見されるがやがて殺人の証拠が出てくる。しかし殺人となると今度は犯人の足跡がない謎が生じてしまうという厄介な事件です。しかし足跡トリックだけの作品ではありません。事件関係者を語り手にした1人称形式が効果的で、アマチュア探偵の役割も与えて謎解きの面白さを増幅しています。破綻したと思われる推理が決め手への一歩になったりとなかなか技巧的です。どたばたシーンもあってお笑いを演出していますが、一方で人情談としてもよくできています。 |