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こうさん
平均点: 6.29点 書評数: 649件

プロフィール高評価と近い人書評おすすめ

No.12 7点 キングを探せ- 法月綸太郎 2012/01/23 01:05
 倒叙形式で交換殺人を冒頭からオープンにした手垢のついたスタイルながらよく考えたプロットだなあと感心しました。
 カードの組み合わせのロジック、最後の展開も楽しめました。全体として小ぶりでしたが久々に法月綸太郎作品が読めたので+1点で。

No.11 6点 法月綸太郎の冒険- 法月綸太郎 2010/07/06 00:21
 10年以上前に読んだはずですがこの作品集だけさっぱり覚えておらず再読しました。
 個人的には「新冒険」「功績」の方が洗練されて出来が良いと思いました。「死刑囚パズル」も伏線は事前に提示されていますが「入れ替わり」が可能なのかどうか実際には微妙かなあと思いました。とはいえ純粋パズラー短編集としてパズル崩壊はともかく「新冒険」「功績」共々楽しめました。
 図書館シリーズは軽い作品ですが他の皆さん同様私も結構好きです。 

No.10 7点 ふたたび赤い悪夢- 法月綸太郎 2009/02/08 23:50
 「頼子のために」を引きずった作品という印象が非常に強いです。「雪密室」の後編の趣きですが先に読んでなくてもネタバレはありませんが少なくとも「頼子のために」はネタバレもありますし読んでない読者には作者の思いが伝わらない作品でしょう。
 正直そこまで悩まなくてもいいのになあと思いますしクイーンをそこまで踏襲しなくてもと思います。法月綸太郎探偵のためには必要であろう葛藤の部分は個人的には嫌いですし読者も求めていないと思いますが作者と探偵には必要なプロセスなのでしょう。心の葛藤部分がない方が短くまとまりますし個人的には好きですがそれをひっくるめての作品なのでしょう。
 他作品を読んでないと入り込めない作品というのも個人的には好きではありませんが「殺人事件」の内容の方は割と気に入っています。

No.9 5点 雪密室- 法月綸太郎 2009/02/08 23:35
 個人的には発売順に読んでいったのですが法月綸太郎初登場作品としてよりも「ふたたび赤い悪夢」の前編といった印象が現在は強く感じます。
 メイントリックは正直お粗末ですしプロローグもかなり見え見えですが昔懐かしいお屋敷、怪しい動機の持った類型的な登場人物たちといった作風は割と好きです。
 法月親子の設定も書かれており初登場作としては上々かと思います。

No.8 6点 誰彼- 法月綸太郎 2009/02/08 00:07
 コリンデクスターをはじめて読んだときは非常に感動しましたがこの作品の仮説の繰り返しはそれほど感銘を受けなかった覚えがあります。
 法月氏らしく伏線やその時点での情報に基づく推論でむしろ本家よりもロジカルかもしれませんが、結局間違った情報に対する仮説の繰り返しで「予想」と変わらないという本家同様の難点がかなり目につきます。
 真相のひねりも法月氏らしいですが逆にこのスタイルでない方が面白くできたかもしれません。

No.7 5点 しらみつぶしの時計- 法月綸太郎 2009/01/18 02:01
 探偵法月綸太郎が登場しない短編集ですがまあまあといったところです。殺人事件で探偵役が犯行を暴く、というスタイルの作品がないためその点もの足りなかったです。
 「二の悲劇」のオリジナルのトゥ・オブ・アスが収録されています。内容はほぼ同じですが視点が違うのが興味深いです。
 この短編集を読んでつくづく作者は都筑道夫氏の影響を強く受けているのだなあ、と思いました。マクベインのパロディの都筑氏の「クォート・ギャロン」のそのまたパスティッシュが収録されているだけでなく二人称視点の「しらみつぶしの時計」も収録されています。「二の悲劇」の時には気づきませんでしたが恐らく「二の悲劇」発表時点で既に都筑氏の「やぶにらみの時計」を意識していたのは間違いないと思いました。「しらみつぶしの時計」はラストは拍子抜けでロジックもあったものではありませんがこれも都筑氏へのオマージュとなっておりストーリーというか構成は気に入っています。
 ロジックあふれる「法月綸太郎」探偵の短編も早く読みたいです。

No.6 6点 犯罪ホロスコープⅠ 六人の女王の問題- 法月綸太郎 2008/10/14 01:17
 あとがきにも書いてありますが、十二星座とギリシャ神話をテーマにというコンセプトありきで「功績」までの出来と比べると落ちるかなと思います。テーマに縛られない作品集の方が数段面白いと思われ残念です。六人の女王の問題はそもそもミステリなのかどうか。個人的には「ゼウスの息子たち」、「ヒュドラ第十の首」は単純なつくりに一ひねりがあってよかったと思います。全体としては及第点だとは思いますが法月氏の短編集としてはまあまあといった所でしょうか。

No.5 8点 法月綸太郎の新冒険- 法月綸太郎 2008/09/28 21:15
 短編の法月綸太郎作品は所謂パズラーとしては他作家より一枚上だと思います。世界の神秘を解く男は個人的にはあまり面白くなかったですが他作品はどれも十分楽しめました。作りは単純ですがひねりのある「身投げ女のブルース」が最も面白かったです。

No.4 8点 法月綸太郎の功績- 法月綸太郎 2008/09/26 00:04
 いわゆる正統派本格色の短編集として好感が持てました。謎と謎解きだけにクリアカットにまとめられていて新本格作家の中でも短編集の水準は個人的には一番かなと思います。
 「イコールYの悲劇」は出来はともかく都筑道夫の「黄色い部屋はいかに改装されたか?」へのオマージュとなっている点だけでも満足でした。作品としては皆さん同様「都市伝説パズル」と「ABCD包囲網」が気にいっています。
 個人的には本家のABCの殺人動機は好きではないのですがこれはひねりがあって面白かったです。中国蝸牛の謎はそもそもミステリといえるかどうか、と感じました。
 法月綸太郎も短編には非常に合っている感じで全体として良かったです。

No.3 7点 二の悲劇- 法月綸太郎 2008/09/21 23:24
 個人的に首なし、顔なし死体ものはあまり好きではなくこの作品も初読時はそれだけで低い評価でしたが再読して見直した印象です。
 顔なしトリックも「エジプト十字架」よりひねっていると思いますし途中でそれが明らかになったところで終わりでなく更に一ひねりがあり二人称視点も活かされていると思いました。
 ただページ配分上最後の一ひねりがわかりやすいのが難点かもしれません。
 また倫太郎のキャラクターはクイーンの模倣なのでしょうがより「ちゃらく」している印象でやはり好きにはなれないです。

No.2 9点 一の悲劇- 法月綸太郎 2008/07/03 00:14
 ありきたりですが長編ではこれと頼子のためにが個人的には今でもベストです。発端がマクベインのキングの身代金の様に間違った誘拐事件の様にはじまり、そこから展開してゆくストーリーは十分楽しめた覚えがあります。ただ作風から仕方ないのかもしれませんが、法月綸太郎はじめ犯人、あるいは他の登場人物もストーリー、トリックのために配置されているだけでキャラクターに深みがない印象があります。他作品もそうですがトリックは好きでも登場人物に感情移入できない作品です。
 またやはりパトリッククエンティンの某作品とテーマが非常に似ているのも少し気になります。

No.1 9点 頼子のために- 法月綸太郎 2008/05/14 21:50
 先にニコラスブレイクの野獣死すべしを読んでいたので、違いを楽しみながら読めました。
 10年前に読んだ時はラストまで一気に読み大変面白かった覚えがありますが現在ではまず身代わりのための殺人が納得できません。ロジックの追及が初期クイーンの後継者たる法月作品のスタイルとはいえ現実で自分の殺人の犯人をつくるために一人殺すということが実際に安易に行われるとは思えません。
 ただ文章の力はすごく法月作品ではベストと思います。ラストも殺人幇助も綸太郎が初期クイーンの様な物語上の神の存在であることを考えれば個人的にはあまりひっかかりませんでした。
 これと一の悲劇を境に神から下りて悩める名探偵に移行するのはクイーン同様でこれも作者が意識的に行っているとは思いますが法月作品でも中途の家や厄災の町の様な後期代表作を期待したいです。初読時なら10点ですが現在の点数として9点です。
 尚モチーフとなっているニコラスブレイクの作品もお薦めです。 

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こうさん
ひとこと
 私の採点で10点は単なる好みです。10~20年前の初読時の印象で不当に高いのもありますが気にしないでください。トリックものは古臭くても昔初めて触れたトリックだったら高得点の傾向が高いです。
 ガイド...
好きな作家
泡坂妻夫、有栖川有栖、東野圭吾、岡島二人、梶龍雄 
採点傾向
平均点: 6.29点   採点数: 649件
採点の多い作家(TOP10)
東野圭吾(60)
有栖川有栖(32)
岡嶋二人(24)
折原一(22)
連城三紀彦(20)
泡坂妻夫(19)
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