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[ サスペンス ]
緑の死
スーザン・ブラン 出版月: 1963年01月 平均: 6.00点 書評数: 1件

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早川書房
1963年01月

早川書房
1985年04月

No.1 6点 mini 2015/06/10 09:58
* 私的読書テーマ”今年の生誕100周年作家を漁る”、第6弾はスーザン・ブランだ

ポケミスで1作だけ刊行されたこの知られざる作家、読んだのは最近だが実は名前だけはかなり以前から知っていた
というのはミステリー初心者だった頃から何かのリストを眺めるのが好きだったので、後にCWAとMWAの各賞の受賞リストを眺めていたわけ
MWA賞には初期から、と言うか本賞よりこっちの方が歴史的に先か、新人賞というのが有る
初期の受賞作には第2回があのヘレン・ユースティス「水平線の男」で、その後もF・ブラウン「シカゴ・ブルース」、A・グリーン「くたばれ健康法」、アイラ・レヴィン「死の接吻」などが受賞している
私個人的には、通俗ハードボイルドの1人、ウィリアム・キャンベル・ゴールトも受賞しているのかと驚いた、論創社さん手を出しませんか?
名前の通り新人の賞なのだけれど、本賞だけじゃなく結構日本での翻訳刊行も満遍なく成されており、未訳作品はごく一部だ
ただ翻訳事情でちょっと違うのは、MWA賞の初期受賞作はポケミスでの刊行が多いのに対して、新人賞の方は割りと様々な出版から翻訳されてる点だ
やはり翻訳独占権とかが絡むので、新人賞の方がニッチが狙い易いのだろうか
その中でかなり古くからポケミスで刊行されていた新人賞受賞作の1つがスーザン・ブラン「緑の死」なのである
新人賞受賞作家の中にはこれをきっかけに羽ばたくタイプと、新人賞一発屋タイプがあるが、スーザン・ブランも他に有名な作は無く新人賞受賞だけで忘れられているタイプかと思う、後続の作品は有るみたいだが未訳だ

さて「緑は危険」とかの例外も有るが、ミステリー小説で題名に”緑”や”グリーン”の文字が有る場合、その半分位の作に登場するのはエメラルドである、つまり緑とはエメラルドの代名詞なのだ
この「緑の死」もまさに緑の宝石が物語の推進役である
この宝石の強奪事件から始まった話は、夫婦関係の破綻から逃避感傷旅行でメキシコにやってきた婦人と、自身は強奪犯ではないがその宝石が強奪事件に関連が有る事を知っている旅行ガイドの男、強奪事件を追う地元メキシコの警察官
この三者三様の思惑が絡んでストーリーは展開する
各登場人物達の書き込みが重くも軽くも無く適度なバランスを保ち、いかにも女流作家の書いた良い意味で軽いタッチのサスペンス小説に仕上がっていて、これ1作で顧みられていないのも惜しい作家だと思う


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スーザン・ブラン
1963年01月
緑の死
平均:6.00 / 書評数:1