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[ ハードボイルド ]
ネオン・レイン
デイヴ・ロビショー警部補
ジェイムズ・リー・バーク 出版月: 1990年10月 平均: 7.00点 書評数: 1件

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角川書店
1990年10月

No.1 7点 mini 2014/08/08 09:59
先月末に論創社から、アンドリュウ・ガーヴ「運河の追跡」、ジェイムズ・リー・バーク「太陽に向かえ」、金来成(キム・ネソン)「魔人」の3冊が同時刊行された
今年の論創は毎月複数刊行が続いていたが先月は一挙に3冊、いや頑張ってんなぁ、息切れしないでね
3冊の中で韓国の作家キム・ネソンに異色性を感じる人も居るかも知れないが、ネソンは日本統治時代の戦前には日本に居住して乱歩とも親交が有り早稲田大卒で日本語でもミステリー書いてた人だから特に珍しい作家でもあるまい、戦後は韓国に戻り韓国語でミステリーを書いたので戦後の作は海外作品扱いとなる
先月の3冊の中で最も驚くべきはジェイムズ・リー・バ-クである、だってさバークには著作権料が必要でしょ?違うの?
論創社がなぜ古典ばかり出してるかって言うと、版権が関わらないというコストダウンが理由なわけで、だからこれまでバークに手を出したのは角川や講談社のような大手だった

ジェイムズ・リー・バ-クはMWA長編賞を2度も獲った世界的に評価の高い大作家であり、日本の現状ではハードボイルドファンにしか読まれていないようなのは勿体無い
今回論創から出たのはノンシリーズっぽいが、作者を代表するシリーズはデイヴ・ロビショーのシリーズで、シリーズ第1作が角川文庫の「ネオン・レイン」である
ロビショー警部補はそりゃ気の強い奴でさ警察内部での食み出し者、結局後には警察機構から食み出ちゃうのだが(笑)
ん?この設定どこかで読んだような、そうですこれはマイクル・コナリーのハリー・ボッシュ刑事ではないか、実際にコナリーのデビューはバークに遅れること5年、90年代型ハードボイルドとしてバークはコナリーの先輩と言えそうだ
90年代型と言ったのは、両作家とも80年代型ハードボイルドから脱却して一歩先を行っており2000年以降もこの流れは続く
ところでこの両作家、似ている要素も多いが文章表現に決定的な違いが有る
コナリーの文章は緻密な描写力が持ち味でリアリズム調である、バークの文章にはこうした面は欠けているが代わりに美しく情感的なリズムが有りコナリーにはやや欠けている要素だ
これはコナリーが元々ジャーナリズム出身の記者だったのに対して、バークが文学畑出身というのが原因に違いない
コナリーのボッシュ刑事もバークのロビショー警部補も一匹狼的で、後に警察を辞めるなど警察小説というジャンルには当て嵌まらない、やはりハードボイルドの一種だと思う
「ネオン・レイン」はアメリカ南部の土着風土の情景が内容と調和していて、流れるように読み進められる
私はこのような作品を評価出来るような読者・書評者で今後もあり続けたいと思う


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ジェイムズ・リー・バーク
1990年10月
ネオン・レイン
平均:7.00 / 書評数:1