海外/国内ミステリ小説の投稿型書評サイト
皆さんから寄せられた5万件以上の書評をランキング形式で表示しています。ネタバレは禁止 していません。ご注意を!

[ ホラー ]
白い部屋で月の歌を
朱川湊人 出版月: 2003年11月 平均: 7.00点 書評数: 1件

書評を見る | 採点するジャンル投票


角川書店
2003年11月

No.1 7点 メルカトル 2014/03/28 22:43
再読です。
第10回日本ホラー小説大賞短編賞受賞作品の表題作と、中編の『鉄柱』を併録する朱川氏初期の代表作。
表題作はいわゆるゴーストバスターズの3人組の話で、霊能者である中年女性が悪霊を封じ込め、その依代として車椅子の「ぼく」が悪霊を憑依させる。もう一人霊能者の弟は、営業マン的な役目をしている。どこにでも転がっていそうな話ではあるが、朱川氏の腕にかかると、これがなんとも言えない独特の世界観を醸し出す。
ホラーなのに、叙述トリックまで仕掛けられていて、いかにも選考委員受けしそうな作風である。直木賞受賞者の実力を遺憾なく発揮した傑作であろう。
個人的に表題作よりも気に入っているのが『鉄柱』(クロガネノミハシラ)である。
女性関係の失敗(妻は事情を知らない)で小さな町に左遷になった主人公の雅彦とその妻は、引っ越し先の小高い丘の上にある広場で逆L字型の鉄柱を見つけるが、一体何の目的でそれが建っているのかが分からない。
町の人達はみな一様にいい人ばかりで、夫妻は内心喜んでいたのだが、次第にその町にしかない異様な慣習が明らかになっていくにつれ、じわじわと精神的に追い詰められていき、最後にはとんでもない破局を迎えることになるというストーリー。
死という概念を逆説的に捉えた、普通の感覚では発想すら難しい怪異を、流麗な文体で描いた佳作である。


キーワードから探す
朱川湊人
2016年10月
遊星小説
平均:6.00 / 書評数:1
2009年03月
わくらば追慕抄
平均:6.00 / 書評数:1
2009年01月
本日、サービスデー
平均:6.00 / 書評数:1
2008年03月
スメラギの国
平均:6.00 / 書評数:1
2006年09月
水銀虫
平均:6.00 / 書評数:1
2006年07月
赤々煉恋
平均:6.00 / 書評数:2
2005年12月
わくらば日記
平均:8.00 / 書評数:1
2005年04月
花まんま
平均:6.00 / 書評数:1
2003年11月
白い部屋で月の歌を
平均:7.00 / 書評数:1
2003年09月
都市伝説セピア
平均:7.00 / 書評数:1