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遊星小説
朱川湊人 出版月: 2016年10月 平均: 6.00点 書評数: 1件

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実業之日本社
2016年10月

No.1 6点 メルカトル 2018/05/21 22:29
短編の名手、直木賞作家の朱川湊人のショートショート集。さすがに文章が上手いです。どこか昭和を思い起こさせるノスタルジックな雰囲気の作品が多く、黄昏や夕暮れが似合いそうなレトロ感覚を味わえます。
ジャンルとしてはSF、ホラー、ミステリなど様々で、中でも当たり前の日常で起こる不可思議な出来事を扱ったものがかなりの割合を占めています。しかし、やはりショートショートの殻を破った革新的な作品集とは言い難く、奇妙な味わいではあるものの、それほど破天荒な感じはありません。それでも、この作者らしく、切ない余韻を残す印象的なものもいくつかあって、ファンとしては納得のいく出来ではあると思います。

ウルトラマン、仮面ライダー、UFO、怪獣、幽霊、妖精などなどが登場し、ショートショートらしい賑やかさです。大方驚くような結末が用意されているわけではありませんが、それなりにオチがついています。そういった意味でも、短いながら小説としての骨格はしっかりしていて、プロの作家はやはり違うと思わせますね。

お節介な幽霊がなんとも微笑ましく、ラストが切ない『ゴメンナサイネ』、ミステリ的手法が生きる、子供たちの悪意を描いた『暗号あそび』、ザラブ星人やニセライダーマンからちょっといい話に発展する『ニセウルトラマン』、ぼろアパートに住む冴えない男と野良猫の感動の物語『傷だらけのジン』など後々まで記憶に残りそうな作品も。


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