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[ SF/ファンタジー ]
ハローサマー、グッドバイ
マイクル・コーニイ 出版月: 1980年09月 平均: 6.50点 書評数: 2件

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サンリオ
1980年09月

河出書房新社
2008年07月

No.2 6点 tider-tiger 2016/12/23 10:38
長い間絶版で幻の名作とされてきた作品です。河出の復刻版の表紙で作品の印象がガラリと変わった。
結論を申し上げれば、過度に期待しなければ十分に楽しめる作品。私はすごく読んでみたいと思っていた頃ではなく、年を食って読みたいという情熱が少し醒めてから読んだのが良かったかもしれません。
さまざまな要素が混在する小説ですが、大雑把にいえば前半は恋愛小説、後半はSF展開となります。
主人公は少々鼻につく部分ありますが、おっさんになっていたせいか、若さだよなあと大らかな気持で見守っていられました。若い頃に読んでいたらこの主人公はちょっと気に食わなかったかも。
対するヒロインのブラウンアイズはお人形。ちょっと生々しい場面もありますが、良い意味でのギャップではなく、なんかチグハグな人物。対照的に置かれたサブヒロインの方が好感が持てた。彼女がああなってしまったのは……作者が悪い。
それから、青い恋愛を描くのはいいんだけど、作者の描き方まで青いのはちょっと頂けない。
恋愛における「どうしたらいいのかわかんない」状態など、主人公の気持はまあまあよく描けていると思うが、恋愛が展開していく模様の書き方がまずくて、どうもこのカップルは傍目に魅力的には映らない。
そんなわけで、前半は名作というわりにはやや凡庸かと。弟が消えたエピソードも姉や主人公の対応がちょっと理解しがたい。これは大きな瑕疵かと。
後半は俄然面白くなる。SF史上最大のどんでん返しは褒め過ぎだと思うが、なかなかうまく決まっている。ラスト前の暗黒展開は、こっちまでうすら寒さ(笑)を感じる。
ラストの一文がほぼ予想通りだったのが気持良かった。ただ、戦争のことなど、細かな部分では騙されており、驚きや感心するところもあって、全体としては満足な出来栄え。タイトルもいい。
ミステリファンへの訴求力という点を鑑みて採点は6点としておきます。

No.1 7点 kanamori 2014/05/05 00:00
政府高官の息子”ぼく”ことドローヴは、夏休暇を過ごすため両親と共に港町パラークシを訪れ、運命の少女・ブラウンアイズと念願の再会をはたす。戦争の影が町を覆う中で、青春を謳歌し愛を深め合うが、ある機密計画が二人を分かつことに-------。

”本書は恋愛小説であり、戦争小説であり、SF小説であり、もっとほかの多くのもの”という作者による”前書き”にある通り、色々な要素がはいった物語となっている(もちろんミステリ要素も)。地球以外の惑星を舞台にしているが、作中の異星人は人間と変わることなく、中盤過ぎまでは(多少の異世界要素はあるものの)、少年少女たちのリリカルな恋愛&青春冒険小説として普通に展開される。
ところが、終盤に入って物語の裏の様相が明らかにされるや、一気に壮大なSF展開に変転する。伏線らしき暗示が多数あるので、ある程度予想はつくが、それでもドローヴとブラウンアイズをはじめ住民たちが受ける運命は衝撃的であった。
そして、「SF史上有数の大どんでん返し」と言われる噂のラスト。一読して意味が読み取れなかったのだけど、なんと第1章の〇〇のエピソードがここで.....という見事な仕掛けに感服です。


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マイクル・コーニイ
2013年10月
パラークシの記憶
平均:7.00 / 書評数:1
1980年09月
ハローサマー、グッドバイ
平均:6.50 / 書評数:2