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[ 冒険/スリラー/スパイ小説 ] ランボー3/怒りのアフガン ランボーシリーズ |
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デイヴィッド・マレル | 出版月: 1988年04月 | 平均: 5.00点 | 書評数: 1件 |
早川書房 1988年04月 |
No.1 | 5点 | Tetchy | 2012/10/29 22:29 |
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当時この映画でアフガニスタンのことをアフガンと呼ぶということを初めて知ったなぁ。作者マレルによるランボーシリーズは本書までで2008年の映画『ランボー/最後の戦場』は関与していない。
2作目の『~怒りの脱出』同様、ランボーは孤独な戦いをするわけではなく、今回も仲間と共に戦う。 本書ではなんと彼の師であるトラウトマン大佐が捕えられ、ソ連軍から過酷な拷問を受ける。この拷問が半端なく、肉体的だけでなく精神的にも過酷な仕打ちが事細かに書かれており、老齢のイメージがあったトラウトマンは果たして大丈夫なのだろうかといらぬ心配をしてしまった。文庫カバーの袖につけられた映画のシーンのスナップショットで見られるトラウトマンは本書で描かれているほど手酷い傷を負っているようには見えないので、映画ではソフトに抑えられたようだが。 そして本書では宗教観が色濃く出ている。仏陀の教えにある人生は苦悩に満ちているという思想のために自分を責めるランボーに、今回彼に協力するアフガンたちのイスラム教の思想、全てはアラーの神の思し召しなのだという、運命論に次第にランボーは傾いていく様が語られる。彼が任務を拒んだことでトラウトマンが捕虜となり、彼が師を救出するためにアフガニスタンの地を踏み、ソ連軍と戦うこと、それら全てが定められたことだというアフガンたちの言葉でランボーは物語の最後に自分の人生の意味を悟る。 しかし映画は確かに観たが1作目、2作目に比べてイメージの想起がなく、こんな話だったかなぁと首を傾げることが多かった。アクションもあるが、宗教観を絡めたランボーの内面を語ることにウェイトが置かれていたのも映画との結びつかなかった原因の一つかもしれない。映画を既に観ていたことが今回は逆に仇になったようだ。やはり映画は映画、小説は小説と全く別物として捉えて読まなければならないのだが、いやはや難しいものだ。 |