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[ クライム/倒叙 ] ミス・メルヴィルの後悔 ミス・メルヴィル |
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イーヴリン・E・スミス | 出版月: 1989年03月 | 平均: 6.00点 | 書評数: 1件 |
ミステリアス・プレス 1989年03月 |
No.1 | 6点 | mini | 2012/09/18 10:01 |
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* 今年が生誕100周年にあたる作家シリーズは一応区切りをつけて終了する事にして、今年の私的読書テーマの1つ、”スミス姓の作家を漁る”シリーズを再開しよう
イーヴリン・E・スミスのミス・メルヴィルのシリーズは、アメリカの現代ミステリーではよく名前が出るので、かなり人気シリーズなようだ 作者は意外と高齢で60歳近くになってのミステリーデビューだからかなり遅咲きのくちだが、実は他のジャンルでは以前にかなりキャリアが有り、ミステリーに手を染めるのが遅かったというタイプだ だからかミステリー第1作「ミス・メルヴィルの後悔」では、第1作らしい初々しさが微塵も無く、妙に小説に手馴れた印象を受けるのもその為だろう 普通に謎が解かれるタイプの作品しか読まないような読者には全く合わないが、この作品は従来のミステリーの形式に全く縛られていない事こそが魅力だ ミス・メルヴィルは中年のオールドミスで名家の生まれなのだが事情が有って一文無しになる、食う為に始めたのが”パーティーもぐり”、こんな言葉初めて聞いたよ、その会場で偶然会った殺し屋からスカウトされて殺し屋に転身 という内容だがこれは単なる発端ではない、それから殺し屋を続ける過程など全てが物語なのだ つまり全体を貫く謎というものは無いのだ、いや一つだけ有る、元締めの黒幕は誰かという謎だが、別にこの謎を巡って話が進むわけじゃない 要するにミス・メルヴィルが殺し屋になる経緯とその後が紆余曲折有りながらも語られるだけなのだ、しかしそれが面白い ”悪人なら抹殺されても仕方が無い”という言い分を、作者がマジな気持ちで書いているとしたら法治国家の住人としてとうてい賛同出来無いが、やはりこれパロディとして書いているんじゃないかなぁ 何となくローレンス・ブロックの殺し屋ケラーの中年女版みたいな感じもするが、古い時代劇ファンだと必殺仕事人を連想する人も居るかも |