皆さんから寄せられた5万件以上の書評をランキング形式で表示しています。ネタバレは禁止
していません。ご注意を!
[ 本格 ] 闇を見つめて グレイス&フェイヴァー |
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ジル・チャーチル | 出版月: 2006年03月 | 平均: 6.00点 | 書評数: 1件 |
東京創元社 2006年03月 |
No.1 | 6点 | nukkam | 2016/06/23 09:04 |
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(ネタバレなしです) 2001年発表のグレイス&フェイヴァーシリーズ第3作である本書は前作の「夜の静寂に」(2000年)以上に時代描写にこだわっています。1932年に起こったボーナス行進と軍による武力鎮圧を描き、当時の社会不安を痛々しいまでに再現しています。1932年の米国といえばヴァン・ダインの「ケンネル殺人事件」やエラリー・クイーンの「Xの悲劇」や「Yの悲劇」が当時の現代ミステリーとして出版されていますが、本書で描かれている世界はまるで別世界の出来事のようです。これが日本人作家の作品なら社会派推理小説として評価されたかもしれません。そのためか作者の持ち味であるユーモアは希薄で謎解きさえもが脇役に回ったような印象があります。歴史小説家でもある作者の顔が垣間見える作品です。 |