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藍霄 出版月: 2009年09月 平均: 5.00点 書評数: 1件

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講談社
2009年09月

No.1 5点 nukkam 2010/10/01 15:51
(ネタバレなしです) 台湾の藍霄(ランシャウ)(1967年生まれ)は、産婦人科医の肩書きを持つミステリー作家です。台湾には日本のミステリーも多数紹介されているようで2004年出版の長編第1作の本書の中でも横溝正史、島田荘司、綾辻行人などが紹介されています。どれだけこの作家が日本のミステリーの影響を受けているかはよくわかりませんが、本書を読んで私が連想したのは江戸川乱歩のスリラー系ミステリーでした。6つもの図面を駆使して描写される密室殺人事件に探偵役の秦(チン)博士の名推理など本格派推理小説としての条件も十分満たしてはいます。友人たちと談笑していた男がちょっと席を外して戻ってくると全員から見知らぬ男扱いされてしまうという発端の謎が見事で、その後の展開も変化に富むもので飽きさせません。性犯罪絡みのネタを扱っていますが産婦人科医出身の作者だけあってエロ路線には走りません(とはいえ万人受けするネタでもないでしょうけど)。作者は幻想性を重視したようですが中盤まではともかく、本格派推理小説としては最後はすっきり終結させてほしかったです。残念ながら謎解き説明が不十分に感じられました。


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藍霄
2009年09月
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平均:5.00 / 書評数:1