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[ ハードボイルド ]
冬そして夜
リディア・チン&ビル・スミス
S・J・ローザン 出版月: 2008年06月 平均: 7.00点 書評数: 1件

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東京創元社
2008年06月

No.1 7点 2017/10/04 22:45
今回はビル・スミスの一人称形式で書かれたシリーズ第8作で、2003年度エドガー賞受賞作品です。
タイトルは、冒頭に引用されたウィリアム・ブレイクの詩『乳母の歌』の「お前たちの冬と夜は、虚偽のなかで空費される」という部分から採られています。虚偽…巻末解説の中でも触れられているように、マイケル・ムーア監督の『ボウリング・フォー・コロンバイン』でも取り上げられた実際の事件に触発された作品であることは間違いありませんが、ローザンの視点は、いじめを黙認どころか助長するコミュニティに向けられ、高校アメフト部員をかばうための町ぐるみと言ってもよい虚偽が大事件の根幹にあることを指摘します。事件の一部は解決されないままで、今後に不安を残す幕切れとなっているのも、全面的解決の困難さを示しているのでしょう。
ビルの両親や妹の家族のことが初めて語られる(リディアに対してさえ)作品でもあります。


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S・J・ローザン
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