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魔物どもの聖餐 |
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積木鏡介 | 出版月: 1998年06月 | 平均: 7.00点 | 書評数: 1件 |
講談社 1998年06月 |
No.1 | 7点 | 人並由真 | 2021/10/24 05:09 |
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(ネタバレなし)
35歳の「野呂啓介」(仮名)は、小学校時代の友人・縄文寺久羅(じょうもんじ くら)からの手紙を受け取り、彼のマンションを訪ねる。そこには久羅当人の姿はなく、野呂宛のさらなる書置きがあった。文中には、久羅の「呪われた兄弟」縄文寺幽羅(ゆら)が、久羅の心に冷徹な復讐計画を促している旨の記述があった。精神が闇に支配された久羅は暗黒の道を突き進むのか? そしてログハウス「桔梗荘」の中では、そこに集まった男女が御伽噺を思わせる趣向のなかで、次々と命を奪われていく? 評者は積木作品は、1年半前に『芙路魅』を読んだのみ。 それで本作もその『芙路魅』も、数年前まであった何駅か先のブックオフの閉店セールで10円で買ってきた本ですが、今ではどっちもAmazonでは結構なプレミアがついています。なんか申し訳ない(汗)。 閑話休題。 まさに外連味だけを盛り付けて一冊書いちゃったようなシン・ホンカクで、どうにも頭のおかしい復讐計画? の開陳からスタート。そのまま物語の主舞台がログハウス「桔梗荘」に移動すると、そこでは作中作? とおぼしきメタ要素の濃厚そうな御伽噺仕立ての連作パズラーっぽい流れになる。青柳の「昔話ミステリ」の先駆みたいな感じだ。 しかしその作中作ひとつひとつの解決についてはバカミスというのもはばかれるような仕上げて、ほとんどヨコジュンのハチャメチャギャグのような世界。まあ、それはそれでいいです。のちのちには、実はこれにも(中略)。 全体の構造については、絶対に詳しくは書けない種類の作品だけど、終盤3分の1からの切り返しはある程度は読める部分もありながら、それでもなかなか。途中の作中作の面白そうな謎解きが(中略)という弱点? も生じてくるんだけど、それにもちゃんと一応のイクスキューズはつく。 破天荒に力技で押し切った、しかしそれなりに手数は多い技巧派の新本格ミステリ。パワフルなその分、ちょっとしょーもないネタも混じってるが、遊戯文学としてのパズラーというかトリックテクニック小説として結構、愛は感じてしまった。 まあ、なんじゃこりゃと怒る人はいるかもしれないし、そういう向きにはあえて異を唱えるつもりもないけれど。 <いい意味で腐った新本格ミステリ>といえるかも? しれない。 |