皆さんから寄せられた5万件以上の書評をランキング形式で表示しています。ネタバレは禁止
していません。ご注意を!
|
[ サスペンス ] 優雅な密猟者 密猟者ダン・マレット |
|||
|---|---|---|---|
| フランク・パリッシュ | 出版月: 1979年02月 | 平均: 6.00点 | 書評数: 1件 |
![]() 早川書房 1979年02月 |
| No.1 | 6点 | クリスティ再読 | 2026/09/16 16:55 |
|---|---|---|---|
| 4作品ほどポケミスで紹介された、パリッシュの密猟者ダン・マレットのシリーズ。
この第一作はCWAの最優秀新人賞を獲得...とオビがなっているんだけど、実は違うからあれ?真相は The John Cheever mystery writers' prize for a first published thriller という賞と、1980年度のMWAの長編賞へのノミネートだ。いやそもそもこの著者(ロジャー・ロングリッグ)は1950年代から様々なジャンルの小説を書いているベテラン作家で、本書はパリッシュ名義第一作だけどトータルでは20冊目の小説だそうだ(苦笑)新人賞なんてもっての外である。 確かに達者な小説ではあるよ。銀行員生活に嫌気がさしたマレットは、ドロップアウトして父親がそうであったような田舎住まいを、身動きが難しくなった母の介護を兼ねて始めた...しかし裏の顔は夜の田園を徘徊する密猟者。根っからのアウトドア派が遭遇した、深夜の取引場面と警察の罠。それから逃れたマレットは地元医師の養魚池に毒が撒かれたことを知る。続いて起きる大農園主の麦畑の放火事件。「農業保全会」を名乗る恐喝組織がこの田園に蠢いているらしい...密猟疑惑から犯人と目されたマレットは、警察の追跡を受けながら必死に真相解明のために戦う。 こんな話。日本でも農村地帯での収穫前の桃が大量に盗まれる事件とか耳にするから、狙われたら対策の取りようがないよ。そんなリアルな犯罪を扱ったスリラー。雰囲気はディック・フランシスに近いなあ。こんな履歴の男だから、スーツに着替えれば銀行員で通用するし、ウェセックスの田舎者を意図的に演じることもできる。実は結構好男子で、いい女にもモテる。もちろんナチュラリストとしての経験が豊富で、イングランドの田舎の自然描写はリアル。さらに密猟者という犯罪者といえば犯罪者だけども、比較問題では道徳的な批判というよりも冒険者的なカラーで弁護の余地のある「犯罪者」、さらにはちょいとした義賊風の振る舞いもする。こういう二面性のある主人公を用意してみせたことで、まあ作品はきっちりと成立するわけだ。 フランシス風、といったけど、ヴィランもそう意外ではないし、マレットの反撃がなかなかエグい。フランシス好きな人は面白がると思うよ。一種のハードボイルドとも読めるけど、田舎での夜間単独行動がメインだから、ほんと会話が少ない小説だ。 |
|||