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[ 短編集(分類不能) ] アンチクリストの誕生 |
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| レオ・ペルッツ | 出版月: 2017年10月 | 平均: 7.00点 | 書評数: 1件 |
![]() 筑摩書房 2017年10月 |
| No.1 | 7点 | クリスティ再読 | 2026/08/27 15:26 |
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| 図書館の棚で見て衝動的に読むことにした。
いや最初は宗教学的な論考か、と思ったんだ(苦笑)でも短編小説集w皆川博子が解説書いている、というのでジャンルは、わかる。 でこのペルッツ、1882年プラハ生まれ1957年没、ユダヤ系。というわけで、ほぼ「裏カフカ」と呼んでいいくらいに共通点の多い作家。でもペルッツは戦前の大人気作家で戦後は忘れられ、最近また復活。 いやだけど「アンチクリストの誕生」だよ、タイトルでまずヤられる。でも話はシチリアのパレルモに流れ着いた靴職人と、その近郊の山村の司祭の家政婦が結婚して子供ができる話。しかし二人の過去、靴職人が見た「瀝青と硫黄とタール」を三人の「金の冠に金の靴、深紅のマント」の外国人がささげる夢、額に十字架を描くと泣き叫ぶ乳児...とこの迷信深い靴職人はこの子がアンチクリストではないかと疑い始める。いやこんな話。すごいなあ。まさに「オーメン」(苦笑) でもでも、があるのがペルッツ。これでも奇妙に牧歌的であり、それでも確かにアンチクリスト。困ったなあ....うん、大変に困る。そういう小説。 だから、まさに「異色作家短篇集」に収録したくなる作家。強烈な技巧派であり、読者の期待を空振りさせて、それでも満足させる手腕には強烈なものがあるな。 あるいは巻頭の「主よ、われを憐れみたまえ」では、ロシア革命の秘密警察チェーカーの創設者ジェルジンスキーが事実上の主人公。ジェルジンスキーに捕らわれた白軍暗号将校が、一目妻子を見てから死にたい、といったことで、ジェルジンスキーはその願いをかなえる。しかしこの暗号将校は律儀にモスクワに戻り、ジェルジンスキーは解読に難渋している暗号の解読を命じる...いや一目妻子に会ってから戦場に戻る「誓いの休暇」かいな。でもでも、その暗号解読と秋霜烈日なジェルジンスキー、そして「主よ、われを憐れみたまえ(キリエ)」の主題。辻褄があってないようで、深いところで合っている話。 だからオチがオチているのかオチていないのか、微妙なところを攻めた作家である。しかし、明白にオチていてびっくりが「ボタンを押すだけで」。交霊術の最中に、生きている人の魂を呼びしたらどうなるか?という謎(苦笑) いやはや、こんな「ヘンな作家」は世界にまだいたのだな。「カフカとクリスティの不義の子」という評言があるそうだ。 |
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