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[ 法廷・リーガル ]
宇宙殺人
デイヴィッド・V・リード 出版月: 2017年07月 平均: 6.00点 書評数: 1件

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久保書店
2017年07月

No.1 6点 人並由真 2026/07/14 20:20
(ネタバレなし)
 地球人類が外宇宙に植民地惑星を増殖しつつあった時代。双子の太陽を持つ、鉱山業が主体の惑星ミラベロで、一種の隠者ながら大物の鉱山主スコット・バードムが失踪する事件が起きた。状況から別の鉱脈のオーナーの富豪で、そして前科のある青年バック(ブルース)・ワイリーにバードム殺人の嫌疑がかかる。ワイリーの妹の美人スウは、元は地球のインディアナ州出身でその後ニューヨークで活躍し、4ケ月前にミラベロに来たばかりの若手弁護士ターウィリガー・エイムズに兄の弁事と事件の調査を依頼した。エイムズは事件の周辺に、ミラベルの地元新聞紙「双子の太陽」発行人フランク・マーチスンの影を確認。そして失踪者と被疑者双方のロケットの運行記録などを検証するが、やがて事件は新たな展開を迎える。

 1944年5月号のSFパルプマガジン『Amazing Stories』に一挙掲載ののち、1954年にペーパーバックで書籍化されたアメリカ作品。SFミステリだが、邦訳書QTブックス(久保書店)版の訳者あとがきで翻訳者・川村哲郎が語る通り、科学性よりも未来の外宇宙植民地を舞台にした、西部劇風ミステリのバリエーション的な趣がある。それはそれで、よきかなよきかな。

 ネットやAIで調べると(情報の出典はかなり精査・再確認させたつもり)作者ディヴィッド・Ⅴ(ヴァーン)・リードは何作かのSFやミステリも著したかたわら、DCコミックスでバットマン系のシナリオ原作をかなり手掛けたライター。シーサイド・スクワットの主要メンバー、デッドショットも彼の創造したキャラクターらしい。
 青年弁護士探偵のエイムズは美人の依頼人スウとの淡いロマンス、窮地に陥った状況のなかで一度は酒に逃げかけるがそこから立ち直って事件に向かうあたりなど、良い意味で通俗的な好青年キャラクターでよい。ただし残念ながら本作はシリーズ化されず、これ一本でエイムズの主役編は終焉した模様。

 特殊な設定の一応はスペースSFだから、読者の常識的な推理が介入可能な余地はあまりなく、物語の叙述・作者側から提示されるこの作品世界内の情報をまとめていく流れ(その上でなら若干、読者側があれこれ推理と言うか仮説を立てることは可能)。
 テンポよくストーリーが運び、エイムズの調査の進むなかであれこれの起伏が生じる筋立てはなかなかよく出来ているとは思う。
 終盤は完全に法廷ミステリで、エイムズが調査した情報をもとに最終的に真犯人との対決となる。謎解きミステリとしては事件の構造に相応の特殊性があり、パズル要素は少ないものの、けっこう楽しめる。
(あと、脇役としてはエイムズに対して、法的な立場としては中立ながら、ある意味でもうけ役となるB・P・エイヴァリル老判事がイイね。)

 全体として、割と面白かった。良い意味で1950年台のパルプマガジン読み物。邦訳のQTブックス(昭和42年7月1日発行の奥付)は大昔の少年時代に古本屋で偶然に見かけ、タイトルだけに惹かれて250円で買って何十年も寝かしてあったが、思い付きで読んでそれなりに楽しめた。
 まあ、あくまで宇宙を舞台にした西部劇風味のローカルタウンもののB級作品だが、それはそれでよろしい。

 評点は、いい意味でこの数字で。


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デイヴィッド・V・リード
2017年07月
宇宙殺人
平均:6.00 / 書評数:1