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[ パスティーシュ/パロディ/ユーモア ]
ご遺体
「囁きの霊園」「ラブド・ワン」「愛されたもの」「華麗なる死者」など訳題は混乱中
イーヴリン・ウォー 出版月: 不明 平均: 7.00点 書評数: 1件

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光文社
2013年03月

岩波書店
2013年03月

No.1 7点 クリスティ再読 2026/05/21 09:48
囁きの霊園―それは見せかけの壮大さと、あらゆる折衷趣味と飽くなき営利精神の権化の大霊園だった。巨大化した葬儀産業を風刺する!

という惹句で70年代初頭のポケミスの宣伝に乗っていた「ブラック・ユーモア選集」の一つ。作者イーヴリン・ウォーというとイギリスのカトリック文学でグレアム・グリーンと並ぶ主流文学系作家、ということになるんだけど、いや意外にミステリ系のアンソロへの登場率の高い作家なんだ。例の「37の短篇」でも「ラヴデイ氏の短い休暇」が入っていたりする人だよ。というのも、この人不謹慎系ブラックユーモアがウリの諷刺作家でもある。

考えてみると、グレアム・グリーンは神学的メロドラマも多いけど、諷刺的なドタバタも意外にあるんだよ。「ハバナの男」とかまさにそうでね。さかのぼればチェスタートンのブラウン神父だって神学的ドタバタコメディなんだ。というわけで、カトリック文学というもの自体に、そういう資質があると言ってもいいのかもしれないんだ。

本作では惹句が示すように、ハリウッドにある「囁きの霊園」でエンバーミング部門に勤めるエイメ・タナトスジェンという女性を巡って、ひとめぼれした詩人(でも生活のためにしょぼい動物用霊園で働く)デニス・バーロウと、エイメの上司ジョイボーイ氏

ジョイボーイが「囁きの園」に来たのも、その名声が業界に鳴り響いていたからである。アメリカ中西部の大学で遺体処理師の学位を取得し、ここに招かれる前の数年は、名門イースタン大学の葬儀学部で教鞭を取っていた。また全米葬儀学会では二度にわたって実行委員長を務めている。

とかね、大物エンバーミング師だったりするわけだ(苦笑)けどね、デニス君も負けてない。イギリス人で戦場を歌った詩で有名になり、意気揚々とハリウッドに職探しに渡ったが鳴かず飛ばずで動物霊園のしょぼい担当者。でもいざ女性を口説くとなると、イギリスの荘重な抒情詩を即座に連発するくらいお手の物...というわけで、葬儀業界のコマーシャリズムというか映画みたいなショーアップが、この三角関係の中で競い合われる(笑)

三原ミツカズの「死化粧師」とかで一時エンバーミングの話が流行ったことがあるけども、本作がその元祖みたいなものだな。でもヒューマンドラマではなくて、極めて諷刺的なブラックジョークみたいな作品である。映画にもなっていて、映画はさらにワルノリしていて宇宙葬でロケットで遺体を打ち上げたりする。

まあ映画や一部出版の訳題「ラブド・ワン」は葬儀業界で遺体を表す隠語だそうだ。「愛されたもの」とかねえ。光文社古典新訳文庫の「ご遺体」という訳題もアカラサマではあるんだが。


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イーヴリン・ウォー
不明
ご遺体
平均:7.00 / 書評数:1