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[ サスペンス ]
リピート・パフォーマンス
ウィリアム・オファレル 出版月: 2024年12月 平均: 7.00点 書評数: 1件

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2024年12月

No.1 7点 人並由真 2026/07/01 17:05
(ネタバレなし)
 1942年5月のニューヨーク。「おれ」こと、妻シーラに自殺され、さらに新婚の友人ピート・マコードに不義理を働いて友情を失った32歳の元役者バーニー・ペイジは身を持ち崩し、ホームレスとして安宿生活をしていた。そんなバーニーは、とうとう恋人ファーン・コステロまで、はずみで殺害。警察に追われて地下鉄の周辺で威嚇射撃を受けるが、その直後、彼はほぼ一年前の1941年5月21日の世界に戻っていた!? 未来のできごとを知るバーニーは、やがて迎える悲劇の運命を食い止めようと躍起になるが。

 1942年のアメリカ作品。
 
 おお! ウィリアム・オファレルだ!!
 オールタイム・マイベスト海外短編ミステリのひとつ『そのさきは-闇』のウィリアム・オファレルだ!!
 
 こんなのが1年半前に電子書籍で翻訳されてることを、今年の5月にようやく知った。
 電子書籍? てやんでぇ、こちとら江戸っ子でい、紙の本じゃなきゃ金輪際読まねえよ、バーロー、と言っていた威勢の良さは一瞬で忘れ、すぐに購入した。うん、だからそれしか無いから、電子書籍版を(呆)。
 まあ、実際に読んでみたら、思っていたよりも取り回しがいいな(笑)。スラスラ読める。

 で、内容だが、ずばり運命改変もののタイムワープが主題と言うか大設定で、キャラクターたちの造形のくっきりぶり、明快な人物配置、なども功を奏してスムーズに物語が流れる。主人公の視点から見て<絶対にこれだけは避けなければ>という、幹となる案件の危機感を読者も早々に共有できる。

 そんなメインプロットのかたわらで、主人公バーニーがいくつかの中小の運命改変を気に掛けていく筋立ても、王道ながらわかりやすい(さすがに旧作だけあって、やや物語の組み方が定型な感触もないではないが)。
 キングの大作『11/22/63』と同じテーマを、ニューヨークの演劇界周辺を舞台に、もっとコンデンスに語ったような感触というか。

 かたや、正直なところ、ミステリ味は希薄で、相応のサスペンス感はあるけれど、もちろん狭義のミステリとは別のところにあるお話。とはいえ小説の組み立て方が王道のようなちょっとだけ良い意味で破格なような感じで(詳しくは言えないが)、最後までテンション豊かに惹きつけられながらページをめくらさせる(電子書籍だからマウスで)。
 ラストの着地点はもちろんここでは言わないが。

 翻訳はところどころ、推敲が甘い? ところは見受けられるし、和訳として正確な翻訳かはわからないが、全体的に読みやすい。何よりとにかく、あのウィリアム・オファレルの未訳長編というとんでもないものを掘り出してくれた訳者さんの企画力には大感謝。ぜひともこれからも頑張ってください。


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『そのさきは-闇』書誌データ

「その向こうは -闇」 Over there ...Darkness (Sleuth Mystery Magazine 1958/10)
translator:島田三蔵(Shimada Sanzō) ミステリマガジン(Hayakawa's Mystery Magazine)1980/10 No.294
translator:島田三蔵(Shimada Sanzō) ハヤカワ・ミステリ文庫(Hayakawa Mystery bunko) editor:ビル・プロンジーニ(Bill Pronzini) 『エドガー賞全集』 The Edgar Winners
「そのさきは -闇」translator:宇野利泰(Uno Toshiyasu) 荒地出版社(Arechi ShuppanSha) editor:デイヴィド・C・クック(David C. Cook) 『戦後推理小説・ベスト15』 Best of the Best Detective Stories
「そのさきは -闇」translator:宇野利泰(Uno Toshiyasu) 荒地出版社(Arechi ShuppanSha) editor:デイヴィド・C・クック(David C. Cook) 『戦後推理小説・ベスト10』 Best Detective Stories of the Year
translator:直良和美(Naora Kazumi) 創元推理文庫(Sogen Mystery bunko) editor:小森収(Komori Osamu) 『短編ミステリの二百年04』
1959 Edgar Awards Best Short Story Winner


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平均:7.00 / 書評数:1