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[ ホラー ] 春のたましい 神祓いの記 |
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| 黒木あるじ | 出版月: 2024年03月 | 平均: 5.00点 | 書評数: 1件 |
![]() 光文社 2024年03月 |
| No.1 | 5点 | パメル | 2026/03/24 08:35 |
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| 感染症の大流行と過疎化により、各地で祭りが行われなくなる。これまで祭りによって鎮められていた神々が怒り、妖怪めいた容姿と恐るべき怪異現象を示して暴れまわる。この事態に対処するため、祭祀保安協会が組織される。九重十一と八多岬が異変を解決し、荒ぶる神々を鎮め処分していく5編からなる連作短編集。
「春と殺し屋と七不思議」出羽原村に九重十一が訪れ、コロナで中断した村の祭りの復活を迫るが、村の廃校では不可解な怪異が起きていた。子供たちの視点で語られるミステリアスな導入と学校を舞台にした七不思議の怪異が展開される。 「われはうみのこ」海辺の町で大量の魚が打ち上げられる怪異が発生する。民俗学的な考察を交えながら、神事の由来と伝播を推理していく謎解き要素の強い一編。 「あそべやあそべ、ゆきわらし」雪深い限界集落に一人で住む老人・鉄吉を訪ねた九重たちは、彼が守り続ける古い屋敷と、そこに潜む「雪わらし」にまつわる秘密に触れる。過疎化という重いテーマと、老人の人生と信仰が織り成す哀愁と温かみが印象的。 「わたしはふしだら」アシスタントの八多岬が主役となる話で、巨大な異形の神「しどら」が登場する。八多の人物像や能力に焦点が当てられることで、バディものとして深みが増している。 「春のたましい」盲目の口寄せ巫女・キヨと関わる中で、九重自身の過去や存在意識に向き合う物語。103歳になる作者の祖母の実体験が反映された、壮絶だが達観した人生観が描かれ、物語全体に深い情感とまとまりを与える力作。 本作は単なる怪異退治ものではなく、コロナ禍や過疎化といった社会問題を、日本の深層に根ざす「祭祀」を通して描き出した風変わりな作品集。 |
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