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[ 本格/新本格 ]
美しい探偵に必要な殺人
藤石波矢 出版月: 2025年10月 平均: 7.00点 書評数: 1件

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新潮社
2025年10月

No.1 7点 人並由真 2026/02/09 04:58
(ネタバレなし)
「俺」こと、高校生・田坂眞人の前に現れた美貌の教育実習生・刀根美聖(とね みさと)。やがて彼女は、病死した伯父・加茂肇(はじめ)の事務所を引き継ぎ、私立探偵稼業を始めた。刀根に初対面の時から心惹かれ、自主的に彼女の助手となった田坂はその後12年の間に警察に奉職し、ひそかに彼女に複数の事件の捜査情報を非公式に提供し続ける。そして先日、焼死したのはかつての田坂の母校の恩師であり、田坂と刀根が宿敵の巨悪として追い続けた男であった。田坂と刀根は電話で、彼らが出会ってから現在までの十数年の間に生じた複数の事件の話題を語り合う。

 できれば帯もAmazonの内容紹介も見ないで、いきなり中味を読み進めて欲しい。
 主人公二人の出会いの時からのいくつかの事件が順々に語られる連作短編集っぽい形式だが、中味は実際には書き下ろしの長編ミステリ。真髄に触れるには確実に全一冊、最後まで読み通す必要がある。
 
 大枠の仕掛けはなんとなく読める部分もあるが、わかりやすい説明で語られる各事件の謎解き、さらに練りこまれれた、一部の事件の意外な構造など、確かによく出来ている部分も多い(かたや、そううまく行くかな、と思える箇所が皆無ではないのだが)。
 
 ネタバレを警戒しながら言葉を選んであえて不満を言えば、主人公コンビとは別個のキーパーソンの動きがやや甘い、と思える事。(中略)のために、ああいうことやそういうことをしようとは思わなかったのだろうか? と少し疑問が生じた。
 それでもミステリとしてのパワフルなどんでん返しに乗っかる形である種の文芸性と独特の情感があり、それら全部を総合した作品として結構惹かれる。

 着想と勢いで書いたような部分と、計算されたいくつかの細部。その相乗でなかなか面白かった。タイトルの意味は……まあ、ねえ。


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藤石波矢
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