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[ SF/ファンタジー ] 宇宙船ビーグル号の冒険 |
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| A・E・ヴァン・ヴォークト | 出版月: 1964年02月 | 平均: 5.00点 | 書評数: 1件 |
![]() 東京創元社 1964年02月 |
| No.1 | 5点 | クリスティ再読 | 2025/12/26 17:25 |
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| SFこんなの読んでなかった系。要するにスぺオペって言われるタイプの作品だからね。まあそれほどスぺオペスぺオペしてないけども、銀河宇宙を探検する宇宙船ビーグル号が遭遇する宇宙怪獣(BEM)たちとの闘争を描いた作品。
猫みたいな見かけだから油断して船に入れたら金属壁でも突破して船内で暴れる奴、乗組員を精神攻撃してくる鳥人、岩のような頑丈な見かけで宇宙空間を漂っていたのを拾ったら金属の中に潜り込んで出没自在な奴、そして...と連作中編集みたいなノリで4種のBEMと戦う。 乗組員たちは探検船ということもあって、網羅的な分野の科学者たちと運用クルーの軍人たちである。主人公は総合科学(Nexialism)と呼ばれるジャンルの科学者...ということなんだけども、これがねえどうも評者とは相性悪いな。科学と言えばそうかもしれないが、社会心理学を応用した経営学みたいなものと言えばいいのか?睡眠学習で知識を頭に詰め込んだり、催眠術でいろいろトラップを仕掛けたりする。これがねえ、どうもイカガワしい。オカルトだなあ。空想科学に文句つけちゃいけないのかもしれないが、薄っぺらい。また、主人公の親友みたいに登場する日本人の考古学者苅田が展開するのが、シュペングラー風の循環史観でこれもまあ単純化し過ぎなテツガクっぽい俗流歴史論みたい。気に入らない。 いやいや、確かに宇宙怪獣たちとの知恵比べみたいな戦い方は面白いが、人文系の学問についてのヘンに古めかしいイデオロギー臭が体質的に受け付けない。こまったな。いや50年代黄金期SFに、この手の古臭い社会史観が満載されている(アシモフもハインラインもそうだが)のが、当時は「リベラル!」ってもんだったんだろうが、今となってはどうにも扱いに困る。 ホントは「非Aの世界」がコジブスキーの一般意味論に影響を受けた奇書、という評判でその予行演習みたいなつもりで読んだんだけど、参ったな、どうしようか? (そういや映画「エイリアン」のデザインソースの一つなんだな) |
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