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刑事何森 逃走の行先
〈刑事何森〉シリーズ
丸山正樹 出版月: 2023年06月 平均: 6.00点 書評数: 1件

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東京創元社
2023年06月

No.1 6点 麝香福郎 2025/07/19 11:19
無骨だが人一倍正義感の強い刑事・何森稔は、聾者の手話通訳士をする荒井尚人と彼の妻である美幸とコンビを組む。
「逃女」は、女性ベトナム人技能実習生が上司を刺して逃走している事件を、「永遠」は、中年男性がラブホテルで殺され若い女性が被疑者として追われる事件を、「小火」は公園トイレの放火の被疑者である高齢の女性ホームレスを追ううちに、イートイン席のある洋惣菜販売店からの誤報とされた強盗騒ぎとの関連が浮かび上がってくる様を描いている。
加害者被疑者は女性だが、その背景にあるのは外国人排斥や入管問題、パパ活やコロナ禍による女性の貧困など。日本のシステムや社会の空気が、女性や少女、在留外国人など声なき被差別者たちに、望まない事件を起こさせているのではないかと思わずにいられない。
一見、バラバラに見える事件、被害者の逃亡に、ある組織の存在が浮かび上がる。クー・バンという支援組織で、特徴は罪を犯した外国人女性でも助ける点だ。正しいことではないかもしれないが、やむにやまれぬ事情を汲むという人としての心をそこには感じる。


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丸山正樹
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