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[ SF/ファンタジー ]
第七の空母1 真珠湾突撃作戦
第七の空母シリーズ
ピーター・アルバーノ 出版月: 1993年12月 平均: 6.00点 書評数: 1件

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徳間書店
1993年12月

No.1 6点 クリスティ再読 2025/06/06 13:38
評者が若い頃に保証人としてお世話になった方には、海軍兵学校出のゼロファイターという凄い軍歴があったんだよね。戦史にもお名前が出てくるよ...1980年代くらいまでは従軍歴のある方が社会の柱石として現役だったわけで、今とは違い「第二次世界大戦」をリアルな「生活」として感じることができていた。
で本作、原作は1983年、翻訳紹介は1993年。戦後40年、氷に封鎖されたカムチャッカの秘密基地から、地球温暖化によって解放された旧帝国海軍大和級四番艦・空母米賀は、命令そのままに真珠湾に向けて出撃を開始した...ベーリング海峡を航行中の輸送船、米沿岸警備隊のヘリ、ロシアの偵察機などを撃破しつつ、一路米賀は真珠湾へ。輸送船の船長は米賀に捕虜となり、老提督の藤田の傍で米賀の侵攻を見守るハメになる。船長の息子は海軍情報部に席を置き、相次ぐ怪事件の真相を探ることになる。

メイデイ!メイデイ!複数のゼロ、複数のゼロ!本船は攻撃を受く

トンデモ架空戦記として伝説?なこのシリーズである。「食料は魚、アザラシ、トド、アシカ、海草。日本人は海草を食べます。牛肉を食べるわけじゃありません。そして鍛錬を積んでいます」が40年間極寒の地を耐え抜いた理由!である(苦笑)乗組員はすべて60歳を越えているが、皆若々しい。見事な戦果を挙げて東京に凱旋!(いいのかww)

グアム島の横井庄一さん、ルバング島の小野田少尉なんてのも、子ども時代に大きな話題だったなあ...本書でも小野田少尉には触れている個所がある。もちろんアメリカ人視点で書かれた本で、トンデモな日本人描写も至るところにある。「日本女性は床上手」とかwwな話もある。でも結構日本でもこのシリーズ、ウケたんだよね(笑)外人目線のヘンな日本を笑ってネタ消費する「007は二度死ぬ」な傾向は昔からあるわけだ。

とはいえ久々に読むことになると、第二次大戦がリアルな世代が数多く登場するこのストーリーをどこか懐かしくも感じられる。日本人は架空戦記が大好きだが、「次はイタリア抜きでやろうぜ!」なリアルとフィクションの縺れあったかつての日本人のホンネにも、評者は思いをいたすことにもなる。
(ちなみに評者の父は、真珠湾攻撃の立案者で本書でも名前が出てくる源田実のファンだったなあ...評者の子どもの頃は源田実が参院議員してた)


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ピーター・アルバーノ
1993年12月
第七の空母1 真珠湾突撃作戦
平均:6.00 / 書評数:1