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[ 本格/新本格 ] 赤い柩 |
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奥田哲也 | 出版月: 1993年12月 | 平均: 4.00点 | 書評数: 1件 |
立風書房 1993年12月 |
No.1 | 4点 | メルカトル | 2014/01/20 22:23 |
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再読です。
まず最初に言っておきたいことがある。帯にデカデカと「ためらい傷の名探偵登場」と謳っているが、これが気に食わない。謳い文句は小説の常套手段だから仕方ないにしても、ならばなぜそれに対しての期待を裏切る。そんな惹句を掲げられたら、当然読者はその名探偵の過去に何があったのかが気になるはずだ。だから、作者はそれに対する回答を作品の中で示さねばならない、或いは編集者が気を回して作家にその旨を通達し、そこのところを詳らかにするよう指示すべきだろう。 これまで惹句に何度も裏切られていた私は慣れているとは言え、やはり読後、ためらい傷に関してほとんど触れられていないのがどうしても業腹であった。無論それは初読の際にも気になっていたことで、再読してその感を一層強めた結果に終わってしまった。 その名探偵だが、ほとんど頭から最後まで露出しているのだが、どうにも特徴がないと言うのか、個性が感じられない。敢えて言えば、聞き上手で、相手が思わず本音を漏らしてしまうような、或いは心の内をぶつけたくなる様な性格のようである。よく言えば金田一耕助型なのだろうか。 さて事件は、連続殺人で3人の被害者のうち2人が血液を体内から吸い取られているという猟奇的なものではあるが、捜査の段階的説明もなされず、どうでもいいような描写が続いたりして、正直ダレる。ただし、その血が抜き取られた理由に関してだけは、それなりに驚ける。特筆すべき点はそれだけで、後は大した伏線もないのに、探偵がしたり顔で真相を語るだけ。何故そこに至ったかの説明もないまま、真相が披露されて終わる。かなりの虚脱感。 まあとにかく、どこまでも平凡な作品であったとしか言いようがない。 |