海外/国内ミステリ小説の投稿型書評サイト
皆さんから寄せられた5万件以上の書評をランキング形式で表示しています。ネタバレは禁止 していません。ご注意を!

[ 警察小説 ]
その犯罪は別
マイクル・アンダーウッド 出版月: 1968年01月 平均: 6.00点 書評数: 1件

書評を見る | 採点するジャンル投票


早川書房
1968年01月

No.1 6点 人並由真 2025/02/20 06:47
(ネタバレなし)
 1960年代半ばの英国。エルウィック地方。住宅街に住むシルビア・フレイン女史は、ふだんあまり付き合いのない近所の未亡人フロレンス・ヒパートの愛猫「ネロ」の様子が変だと気にする。ネロに餌をあげたフレイン女史がヒパートのもとを訪ねると、応対がない。不審を感じたフレイン女史は警察に通報するが、やがて当人の自宅でヒパート未亡人の絞殺死体が発見される。

 1966年の英国作品。
 210ページちょっとの薄いポケミスで、訳はベテランの乾信一郎。サクサク読める。中盤で、未亡人が所有する1ダースもの時計のネジを定期的に巻いている時計職人が、検死医の判定した死亡時刻よりも遅く、被害者と会話していた? というオカルトチックな不可能興味も登場してワクワクしてくる。解法というか真相は存外にツマらなかったが。

 探偵(捜査)役は、ロンドンから地方のエルウィック署に転任している、まだ30代後半の主任警部ピーター・チャド。地元の生え抜き連中の同僚や部下と微妙な距離感で付き合う一方、可愛い奥さんと三人の子供に恵まれた家庭人の家長としてプライベートな苦労も描かれる。後者の側面はキーティングのゴーテ警部みたいだ。同時代だろうし、この頃の英国の警察小説(&そっちに近いパズラー)での流行りか。英語wikiとかで調べると、このチャド主任警部、特にレギュラー探偵ではなかったみたいだけど。愛妻ケートから出勤前に「メグレさん」と冗談で呼ばれるあたりとか、ちょっと微笑ましい。

 ポケミスの裏には「ひねりのきいた異色の犯罪小説」と銘打ってあるが、どっちかというとフーダニットのパズラー要素の強い、警察小説。ただし真犯人の特定の手掛かりなどはあくまで作者の都合で出て来るので、最終的には純粋な謎解き作品ではなくなった。最後の方にサプライズめいたものは用意されているが。

 主要登場人物が少なく(まあこの紙幅だからか)、良い意味で話の幅がぶれないので、とても読みやすい。
 前述の不可能興味っぽいあたりを起点にした「これはなかなか面白くなるのでは?」という、拾い物に出会った欲目には最終的にさほど応えてくれなかったけど、トータルとしてはそこそこ楽しめた。秀作というには微妙だが、佳作程度にはじゅうぶんなっているハズ。


キーワードから探す
マイクル・アンダーウッド
1968年01月
その犯罪は別
平均:6.00 / 書評数:1