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[ サスペンス ]
砂の館
シェリイ・ウォルターズ 出版月: 不明 平均: 6.00点 書評数: 1件

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No.1 6点 人並由真 2024/12/18 08:21
(ネタバレなし)
 1970年代初め(たぶん)のニューヨーク。美術学校を出て、新進アートデザイナー&女流画家の卵として活動していた20歳代前半(たぶん)のティビイ(ティベリア)・ランデルは、仲間たちと広場で青空画廊を開いていたところ、見知らぬ40代の紳士から声を掛けられて自作の絵画を購入してもらった。紳士ヴィクター・ファリンドンは、元弁護士で今は株の投資で順調に成功した金持ちだった。ヴィクターは新規事業のため、広告宣伝用の絵描きが欲しいとティビイをスカウト。かくしてティビイは、ニューヨークから離れた、近くに海岸と沼地のあるクォニスカンの町を訪れ、そこにある砂丘の上に立つヴィクターの館「ザ・デューンズ」の逗留客となった。だがそこで彼女を待っていたのは。

 1974年のアメリカ作品。翻訳は現在Amazonにデータがないが、1976年9月に角川文庫から刊行。

 「訳者」あとがきによると作者シェリイ・ウォルターズは、別名義で当時すでに相応の実績のある某作家の別ペンネームだそうである。その後、2020年代の現在までにどっかで正体が判明してるかもしれんが、当方は寡聞にして知らない。いずれにしろこの作者名での翻訳はこの一冊しかないと思う?

 内容はコテコテの(70年代当時の)現代ゴシックロマンで、砂上の館、そこではかつてある事件が起きて……というロケーションの王道ぶりもステキ(館自体も先代の持ち主が増築を繰り返し、現当主のヴィクターも正確な構造を知悉しきっていない、という外連味もまたよい)。
 週刊少女漫画誌に半年連載される連続ものの少女マンガみたいなストーリーだが、『レベッカ』や『ジェーン・エア』が大好きな「訳者」さまが楽しんで翻訳したのはよくわかる。
 こういうジャンルのお手本みたいな内容で、フツーに面白い。

 で、まあここまで書いて、本書のことをこれまで全く知らなかった人も、何となく察しがつくだろうが、訳者とは、もちろんあの小泉喜美子。
 Wikipediaでの現時点での書誌が正しければ御当人の5~6冊目の翻訳書で、大好きなゴシックロマン分野での初の翻訳がこの本であった。訳者あとがきで、自作『ダイナマイト円舞曲』についても自負というか思いのたけをくっちゃべっているのも微笑ましい。

 夜中の3時過ぎから読み始めたので、半分読んで今日は寝ようかと思ったが、本サイトを覗くと実に偶然にも『弁護側の証人』のレビューが二つ続けて投稿されているので、こりゃオモシロイと思って頑張って最後まで読んで、このタイミングというか順列で本作のレビューを投稿することにする。これで小泉喜美子スリーカードじゃ(笑)。
 いやまあ、こーゆーミステリファンの茶目っ気、天国の喜美子先生なら喜んでくれるかもしれんと、ちょっぴりだけ期待して(笑)。


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平均:6.00 / 書評数:1