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[ サスペンス ] 昼と夜の巡礼 |
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黒岩重吾 | 出版月: 1970年01月 | 平均: 5.00点 | 書評数: 1件 |
角川書店 1970年01月 |
中央公論新社 1974年10月 |
光文社 1977年08月 |
中央公論新社 1983年08月 |
No.1 | 5点 | 斎藤警部 | 2024/07/24 19:01 |
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「今夜はわしがえらい役に立ったやろ」
不倫相手の男が、女に大金を託し失踪。女はその資金で「バー」経営に乗り出す。やがて男の妻も別の「バー」を経営し始める。 ← わざと肝腎な点を端折って書きました。本当はかつて女が社長秘書として働いた「世界金属工業」なる会社の面々やら、キーマンとなる株式ブローカーやらその妻やら、女の父母やら登場し、男の「失踪」を中心とする(カネも大いに絡む)謎の暗雲を晴らそうと、女は奔走します。 社会派ミステリを、一人の女性の成長物語が包み込む構造です。 決してミステリ側が包み込むのではありませんが、ミステリ興味の支柱を棄ててはいません。 成長物語の方のサスペンスもなかなかのものです。 騙し合い、疑り合いの火花が鮮やかです。 主人公の一人称かと錯覚する文体にはちょっとグラつきがありますが、許せましょう。 唐突に体操したり歌ったりおなかすいたり、なかなか可愛いところもある主人公です。 “そんな時は酒を飲み、浮気をしてやろう。” 最終盤で明かされる或る事のハウダンまたはホワイダン、物語のそのタイミングでミステリ的にどうという反転でもないけれど、重みはぐっと被さって来ました。 タイトルにはしっかり具体的な意味がこめられていました。 そして深読みできる最後の台詞、渋いねえ。 |