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[ ホラー ]
ほねがらみ
芦花公園 出版月: 2021年04月 平均: 5.00点 書評数: 2件

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幻冬舎
2021年04月

幻冬舎
2022年05月

No.2 4点 パメル 2025/05/23 19:41
語り手の「私」は、大学病院に勤務する男性医師。ホラーマニアで、怪談蒐集を趣味とする彼が、これまで見聞きしてきた不気味な話の数々を紹介するスタイルで綴られる。
第一章の「読」は、漫画家の木村沙織が、オフ会で知り合った癖のある女性・由美子から提供されたという、四つの怖い話が収められている。一見独立しているように見えるが、実は互いにリンクしており、沙織もおぞましい怪異の当事者となる。
第二章「語」は、出版社に勤める友人の頼みで、「実話系怪談コンテスト」の応募原稿を読むことになった佐野道治。土俗的な恐怖を扱った原稿を読み進むうちに、怪異は取り込まれてしまう。
第三章「見」は、喘息の持病がある娘とともに田舎に移住してきたシングルマザー・鈴木舞花の手記。移り住んだ洋風館の家で、次第に奇妙なことが起こり始める。
不条理な呪い、伝染する怪異、土俗の闇と生々しい手触り。作品後半は、いわば考察パート。これらの記録を読み終えた「私」が、その背景にある真相を探っていくというミステリ的な展開になる。見え隠れしているのは、「橘家」という旧家の存在と、蛇にまつわる奇怪な伝説。
オチは、ホラーの手管としては割とよくあるという印象。途中からモキュメンタリーの描き方ではなくなり、ほとんど一人称の小説になったところが不満。

No.1 6点 ROM大臣 2024/05/28 12:41
投稿サイト発の厭な伝播系ホラー。
呪いや祟りにまつわる蒐集成果の各種テキストは実話タッチ、民族モチーフで読ませるが、それらが組み合わさって巨大な恐怖が次第に構築されていく。
実話系やネット怪談があらかじめ原理的に内包する虚構性に対して、きわめて自覚的な、というより興味の在処が虚構にこそあるメタ志向。だから恐怖の行方もまた、虚構だからこその捻じれた伝奇的地点に到達する。


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芦花公園
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食べると死ぬ花
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2021年04月
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平均:5.00 / 書評数:2