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[ パスティーシュ/パロディ/ユーモア ] 料理長殿、ご用心 |
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ナン&アイヴァン・ライアンズ | 出版月: 1979年01月 | 平均: 5.00点 | 書評数: 1件 |
角川書店 1979年01月 |
KADOKAWA 1985年03月 |
No.1 | 5点 | クリスティ再読 | 2024/05/11 19:56 |
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70年代って小洒落たミステリ映画がたくさん作られてた、と思う。洒落てた、といえばこれじゃない?ジャックリーン・ビセット主演。有名シェフが鳩の包み焼き、ロブスター、鴨の詰め物グリルと次々自分の得意料理にちなんで殺される連続殺人事件。デザート担当はビセットだもん美人パティシエ、作品はその名も「リシュリューの爆弾」!
原作が角川ベストセラーズから出ていて、ノベライズとかそういうものではない。角川春樹が気に入って紹介したという話があるようだ。小説の中にその料理のレシピやら書簡やら報告書やら乱雑に入っているタイプの本。リアルなタッチでおしゃれを狙った感覚的なスタイルといったらいいか。 華麗なラズベリー・シャーベットの台の上に綿菓子が王冠のようにのっていて、そのまわりをまるく囲んだホイップド・クリームには生のラズベリーが宝石のようにちりばめてあった でも皮肉でユーモラス、イキイキした会話を狙いすぎて、読んでいてやや読者が置いてきぼりになる傾向もあるなあ。だしこういう感覚的な「おしゃれ」を狙ってしまうと、映画のリアリティに絶対に勝てない。映画だと「リシュリューの爆弾」は最後に火をつけて完成、というデザートだと「こんなの、あり?」なアレンジがなされているけど、名前とヴィジュアルならこっちが正解。ファンタジーでいいんだよ(苦笑) 小説では第二の殺人で犯人を割っているので、ミステリ的には「意外な(変な)動機」に全振り。うん、まあ分かるけどもねえ。 小説読むより映画見た方が楽しい作品なのは否定できないよ。そういえば監督のテッド・コッチェフは本作で名を売って「ランボー」の監督をゲットしたんだったなあ。 |