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[ 冒険/スリラー/スパイ小説 ]
ミクロ・スパイ大作戦
ミクロ・スパイ 別題「ルーマニア潜入作戦」
リンドジイ・ガターリッジ 出版月: 1972年04月 平均: 6.00点 書評数: 1件

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早川書房
1972年04月

早川書房
1976年03月

No.1 6点 クリスティ再読 2023/11/16 19:14
キッチュと言えば、まあスパイ小説っていくらでもキッチュになるものだ。
日本でも「エスパイ」なんて作品があるわけだが、SFと絡めてしまえばいくらでもネタはあるし、007(とくに映画)なんてSFとしか言いようのない設定もあるわけで、SFとスパイ小説の境界は曖昧と言えば曖昧。でもさ「現実のスパイはそんなことはしない!」とかリアルスパイからのクレームがありえないジャンルでもあり(苦笑)ファンタジーに突入すればし放題なのも事実だったわけだ。
リアルスパイもひと段落するとネタに困るのはその通り。だからジャンルの拡散の中で、「ミクロの決死圏をスパイと合体!」とかね、普通に思いつくネタでもある。評者の世代だとさ「親指トムは役に立つ男、小っちゃいってことは便利だね、あ便利だね!」なんてフレーズがアタマの中を駆け巡ってしまう(笑)というわけで、

人口対策の脅威に対応するため進められた人間縮小計画。イギリス情報部員デュルクは1/300、6ミリのカラダに縮小された(原理不明。いいよもう「ちびっこ光線」で)。デュルクは昆虫サイズの人間としてのサバイバル条件を研究するために縮小され、昆虫学者・プロハンターなどの縮小人間の仲間と共に、昆虫たちと戦いつつサバイバルについての経験を深めていった...しかし、政府から縮小人間たちが招集を受ける。縮小人間をスパイとして使い、ルーマニアの将軍の髪に盗聴器を設置しようというスパイ活動に動員されたのだ!否応なしに縮小人間たちはルーマニアに潜入し、苦難の末将軍の頭に取り付いた....

こんな話。科学的なツッコミどころは多数。でも、昆虫たちと闘争しサバイバルに活用する描写に妙な迫真性がある。そんなサバイバルに終始する前半がシリアスな味わいで面白い。後半はスパイ小説で007風ルーチンをしれっと踏襲してみせるあたり、シャレで書いているのが分かるぶん何か憎めない作品。イギリス人らしく「真面目な顔をして笑わせる」芸風と見た。

意外にこれが日本でもウケたのか、翻訳もハヤカワ文庫側に移して「ルーマニア潜入作戦」と改題して出版、さらに後続のシリーズが「カナダ森林作戦」「ペルー猛毒作戦」と続いて翻訳されている。
(マジでツッコめば、昆虫サイズになると重力より表面張力や空気の粘性抵抗の方が動くうえで重大になるとか、物理法則自体が人間世界の常識から外れるんだがなあ...虫って高いところから落ちてもピンピンしているでしょう?)


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リンドジイ・ガターリッジ
1972年04月
ミクロ・スパイ大作戦
平均:6.00 / 書評数:1