海外/国内ミステリ小説の投稿型書評サイト
皆さんから寄せられた5万件以上の書評をランキング形式で表示しています。ネタバレは禁止 していません。ご注意を!

[ ホラー ]
小説家と夜の境界
山白朝子 出版月: 2023年06月 平均: 8.00点 書評数: 1件

書評を見る | 採点するジャンル投票


KADOKAWA
2023年06月

No.1 8点 虫暮部 2023/08/10 12:30
 人は何故、小説家小説を書くのか。
 本書を題材にその考察を試みるなら、重要なのは『小説家と夜の境界』と言う表題(収録短編に同題のものは無い)。
 これは “教会に寄る” の言い換えであろう。教会に寄ってすることと言えば当然 “懺悔” だ。つまり、ここに集められた物語はどれも作者の実体験であり、罪の告白を意図していると思われる。そうか、O氏死んじゃったか。雑誌掲載時期を鑑みれば、亡くなった多作家X氏はあの人かあの人……?
 特記すべきは最終話で、駄洒落みたいな題のくせに絶望と希望を背中合わせに透かし見たような美しさ。こういうのは山白女史にしか書けないと言っても過言ではなかろう。
 神父たる読者は懺悔を拒否出来ない。神様はお許しになっている。


キーワードから探す
山白朝子
2023年06月
小説家と夜の境界
平均:8.00 / 書評数:1
2018年02月
私の頭が正常であったなら
平均:7.00 / 書評数:5
2012年03月
エムブリヲ奇譚
平均:7.00 / 書評数:1
2011年12月
死者のための音楽
平均:7.00 / 書評数:1