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[ ホラー ] 幻の下宿人 |
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ローラン・トポール | 出版月: 1983年05月 | 平均: 6.00点 | 書評数: 1件 |
早川書房 1983年05月 |
河出書房新社 2007年09月 |
No.1 | 6点 | クリスティ再読 | 2023/06/24 09:46 |
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評者の世代だと
「善良な彼は、なぜ女装してパリの町を逃げまどうのか、なぜ女がトイレに入るのを覗くのか―平凡な日々の中の思わぬ恐怖の陥穽を描く!」 の惹句で馴染みがある本。1970年代のポケミスの宣伝ページに「ブラック・ユーモア選集」で紹介されていた本では、本作と「ジョコ、記念日を祝う」の2作が収録されていたが、河出文庫での再刊では本作のみ。これヴィアンの「北京の秋」と並んで気になる本、でしょう? でブラック・ユーモアのはずなんだけど、実はホラーといった方がいい内容。楳図かずおもギャグが得意だったり、伊藤潤二のホラーが笑えたりするのはよくあることで、日常を別視点からヒネって脱臼したかたちで提示して、感情を震撼させることでは、似たようなものだと言えるんだろうね。 引っ越し先のアパートで友人を呼んで騒いだことで、家主&ご近所から強烈なクレームを入れられた主人公が次第に病んでいく話。その部屋の前住人は窓から飛び降りて自殺を図り、主人公も部屋の賃貸権を気にして前住人の女を見舞に行ったのだが、その女と同じ目に逢わせようと、ご近所は企んでいるようなのだ...追い詰められた主人公は次第に自殺した前の住人の女性と同一化していく なんて話。サイコホラーだけど、下ネタとシュールな描写が多数。トポール自身、諷刺漫画家として世に出た人で、例のカルトアニメ「ファンタスティック・プラネット」にも関りがある。シュルレアリストとも言えるけど、カフェでのアンドレ・ブルトンの法王然とした姿を見てがっかりしたそう。サイコホラーなのか、オカルトチックな陰謀話なのか、シュルリアリスム小説なのか、下ネタお笑い小説なのか、よく分からないあたりに存在意義がある。 |