皆さんから寄せられた5万件以上の書評をランキング形式で表示しています。ネタバレは禁止
していません。ご注意を!
[ 警察小説 ] 看守の流儀 刑務官・火石司 |
|||
---|---|---|---|
城山真一 | 出版月: 2019年12月 | 平均: 7.50点 | 書評数: 2件 |
宝島社 2019年12月 |
宝島社 2022年01月 |
No.2 | 9点 | 鷹 | 2024/06/23 09:14 |
---|---|---|---|
刑務所内の人間ドラマとして読んでいたら最後の5話でひっくり返りました。
先入観とは恐ろしいものですね。 |
No.1 | 6点 | パメル | 2023/06/24 06:38 |
---|---|---|---|
金沢の刑務所を舞台に、刑務官と受刑者たちを主人公とした5編からなる連作短編集。
「ヨンピン」仮出所した模範囚の失踪と、薬を誤飲し重体となった認知症気味の受刑者の事案が相次ぎ、波紋を広げていく。 「Gとれ」所内の工場で印刷された大学入試問題の漏洩容疑で、署内が警察によるガサ入れの危機に陥る。 「レッドゾーン」受刑者の健康診断記録と胸部レントゲンフィルムの紛失が判明する。 「ガラ受け」重篤な病で数カ月の余命を宣告された模範囚に対し、刑の執行停止を実現しようと奮闘する看守。 「お礼参り」再犯リスクが高い満期釈放犯の処遇を巡り、さまざまな思惑が交錯する。 受刑者が絡む事件だけではなく、所員の対立が原因と思える作品もあり、バラエティに富んでいる。日本の刑務所は、受刑者の「更生」よりも「懲罰」の要素が高いという批判に晒されることも多いが、本書に登場する所員たちは受刑者に対し、皆が真摯に向き合っている。意外性のあるミステリとしても優れているが、謎解きと同時に所員たちの職務に対する矜持が浮かび上がるなど、人間ドラマとしても優れていて、横山秀夫作品を想起させる。 陰で謎を見通す探偵役の役割を負っているのが、警備指導官・火石司である。最終話の「お礼参り」では謎めいたこの人物に関する詳細が描かれるとともに、全編を通したある仕掛けが炸裂している。 最後に、それぞれのタイトルが刑務所内での隠語を使っているのでその意味を。 「ヨンピン」服役期間の残り4分の1を残して仮出所する模範囚。 「Gとれ」暴力団から足を洗うこと。 「レッドゾーン」刑務所内でまともな日常生活が送れない受刑者が大半を占めている場所。 「ガラ受け」受刑者が仮出所するときに、家族や後見人が身柄を引き受けること。 「お礼参り」仕返し、報復、復讐などの意。 |