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[ 短編集(分類不能) ]
海峡を渡る幽霊
李昂 出版月: 2018年02月 平均: 6.00点 書評数: 1件

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白水社
2018年02月

No.1 6点 猫サーカス 2023/03/20 19:09
政治や歴史、性など多様な主題が時に叙情的に、時に土俗的ほら話風に描かれる。台湾の歴史と風土が結晶化したような作品には、複雑な味わいと重厚な読み応えがある。表題作は奇妙な幻想譚だ。漢方医が大陸から台湾にやってくる。何か事情があるらしく険しい山奥に居を定めるが、やがて女の幽霊が彼の元に現れる。騒動を起こす女幽霊を追い払おうと人々がするのが、台湾の土着の神様だ。物語は両者の対決とあいなるが、その構図に台湾の現代史と重ねずにはいられないだろう。コミカルな物語に深い含意が込められている。国民党政権による政治弾圧のトラウマを描く「花嫁の死化粧」、数百年にわたる台湾の歴史を幽鬼の視点で語る「谷の幽霊」も忘れ難い。奇想天外なイメージを駆使しながら、壮大な時空をまるごと語ろうとする作者の力技に圧倒された。


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李昂
2018年02月
海峡を渡る幽霊
平均:6.00 / 書評数:1