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[ 本格/新本格 ]
0 ZERO
堂場瞬一 出版月: 2022年02月 平均: 6.00点 書評数: 1件

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河出書房新社
2022年02月

No.1 6点 麝香福郎 2022/08/20 17:05
主人公は、ミステリ作家の古谷悠。古谷悠は、生前に親交があり、私淑もしていた同郷の大物作家・岩佐友の葬儀場で、岩佐の長男・直斗から声を掛けられる。病床にあった父が、「すごい原稿がある」と言っていたのだが、「あれは何だったのかなあ」と。
物語は、そのすごい原稿の謎で読者を牽引していく。同時に、亡くなった一人の作家の生きざまを多面的に描き出していくのだが、この過程がスリリング。葬儀に居合わせた編集者の仲本美和に原稿探しを機に、岩佐の評伝を書いてみないかという提案に心動かされ、原稿を探しつつ、岩佐友という一人のベストセラー作家の足跡を追っていく。
ストーリーテリングには定評のある作者だが、その巧者ぶりは本書でもいかんなく発揮されている。何よりも、原稿の謎と岩佐自身の謎という二つの流れが、やがて一つに集約されていく様は圧巻。物語の終盤、その謎が明らかになった時、読者が受けるのは作家を志した人間の、壮絶な覚悟。その激烈なまでの意志は、古谷と美和だけではなく、読者の胸にも深く重く沈んでいく。読後、タイトルの「ゼロ」という言葉の意味が、何重にも響いてくる物語だ。


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堂場瞬一
2022年02月
0 ZERO
平均:6.00 / 書評数:1
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