皆さんから寄せられた5万件以上の書評をランキング形式で表示しています。ネタバレは禁止
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[ 本格/新本格 ] 蒼い鳩殺人事件 |
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馬場信浩 | 出版月: 1994年08月 | 平均: 4.00点 | 書評数: 2件 |
![]() 光文社 1994年08月 |
No.2 | 4点 | たかだい | 2025/04/12 00:38 |
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とある禅寺では庵がラブホ代わりに貸し出されており、その庵で面を被った全裸の女が首を吊る事件から話が始まる。さらに、そこにブルーフィルム(非合法なアダルト映画)まで絡んでくる為、官能ミステリーの類かと思えてくるが、そこはしっかり真面目(?)なミステリー作品でした
本来なら主題に挙げられる筈の密室の謎は(作中的にもあまり意味がない事もあって)はっきり言ってオマケ程度であり、本質的には(著者自身の経歴が活きているのか)生々しさすら感じられる人間模様がメインのミステリー作品だと感じました そうゆう意味ではトリックありきの作品の方が好みな私としてはあまり刺さらない作品でしたが、とは言え読み応えはある力の入った作品ではあったかと思います |
No.1 | 4点 | nukkam | 2022/06/29 09:26 |
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(ネタバレなしです) カッパノベルス版の「著者のことば」で「私の精魂を傾けた一編です」とアピールしている1994年発表の本格派推理小説です。鳩の寺として知られる鎌倉の禅寺で密室状態の庵(いおり)で般若の面をかぶった女性の全裸死体と一羽の鳩(こちらは生きてます)が発見されます。庵がラブホテル代わりに使われていたり、幻のブルーフィルムが脚光を浴びたりと通俗的な要素が強いです。どちらかといえばハードボイルドか官能サスペンス向きの題材に思えますが、警察の捜査が暗礁に乗り上げてラグビーライターの浅川の捜査が中心となる後半からは複雑な人間模様の描写に力が入ります。弱者が虐げられる過去の悲劇も容赦なく描かれており、これはこれでありだと思いますが謎解きの面白さは犠牲になっていて、読者を選びそうな作品です。密室の謎解きも長らく放置された挙句に駆け込み式に解明されますが、そもそも密室にする必要性があったんでしょうか? |