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[ クライム/倒叙 ]
清掃魔
ポール・クリ-ヴ 出版月: 2008年10月 平均: 6.00点 書評数: 1件

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柏書房
2008年10月

No.1 6点 メルカトル 2022/06/14 23:23
俺のコピーキャットは誰だ。許さん。天使の街クライストチャーチの警察署で掃除夫として働く「のろまのジョー」は、自分の模倣犯を放置できなかった。そう、障碍者を装うジョーの素顔は、クライストチャーチ・カーヴァーと怖れられる、無慈悲なシリアル・キラーなのだ。金魚だけが友達の暮らし、陽光降り注ぐ夢のない街、過干渉の母親、そんな日々の中で膨らむ孤独な妄想。尊大極まる身勝手な意識が生む、自己合理化された正しい完全犯罪。しかし模倣犯探しによって、完璧なシナリオにも亀裂が生じるのだった…。2007年ドイツ・アマゾンのミステリー部門で年間ベストセラー第1位を獲得。現代世界の理由なき殺人を犯人の主観でリアルに描きこむ、ぐいぐい読める傑作ノワール小説。
『BOOK』データベースより。

今ではそれ程珍しくない、連続殺人鬼自身が探偵となって殺人事件を暴いていく倒叙物、或いはサスペンス。物語はシリアルキラーと彼に近しい女性の一人称で進んでいきます。二人の心理描写が半端なく事細かになされており、そこが一つのウリですね。それにしても主人公のジョーの第一声に驚きました。何故か?それは読めば分かります。作風は緩急を付けてはいますがかなり乱暴で、その為差別用語がバンバン出てきます、これでもかとね。そういうのに嫌悪感を抱く方は読まない方が賢明です。

中盤で最大の見せ場が来ます。これは見ものですよ、残酷描写が克明に描かれており、かなり痛々しいです。まああとは特に意外性やオチがある訳でもなく、ご都合主義で多分に偶然に頼っている点は否定できません。ツッコミどころは結構あるって事です。
例えばジョーの、途中から出てくる重要人物に対する心境の変化が何だかよく理解出来なかったりとか、何故犯人が○○の中にいるのが簡単に解ってしまったのか、そんな偶然あるのかとか。その辺りは如何にも作り物っぽくて鼻白んでしまいます。


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ポール・クリ-ヴ
2008年10月
清掃魔
平均:6.00 / 書評数:1