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[ ホラー ]
秘書綺譚
ジム・ショートハウス 他
アルジャナン・ブラックウッド 出版月: 2012年01月 平均: 7.00点 書評数: 1件

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光文社
2012年01月

No.1 7点 弾十六 2022/02/17 03:58
2012年出版(光文社古典新訳文庫)。日本独自編集。南條竹則編・訳。南條さんの文章は大好きです。
ジム・ショートハウスもの全四作を全て収録。ブラックウッドは登場するキャラの肉付けが良いですね。すっとぼけた語り口も良い。湿度が低い感じ。
以下、初出は南條さんの丁寧な解説、FictionMags Index、ブログ『恐怖の黄金時代/怪奇三昧』ブックガイドを参照しました。カッコつき数字は本書収録順です。いつものように初出順に並べています。
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(2) A Case of Eavesdropping (初出The Pall Mall Magazine 1900-12 as “A Case of Eaves-Dropping” 挿絵Percy F. S. Spence)「壁に耳あり」: 評価6点
ジム・ショートハウスもの。
ジムはすでに40歳を超えていて、金持ちの娘と結婚して安逸に暮らしている。22歳ごろの貧乏時代を回想する、という設定。語り手は「僕」(ジムの友人)だが、冒頭だけの登場。ショートハウスを紹介する感じはシリーズ最初の作品っぽい。
怪奇ものとしては普通の感じ。
p42 習字帳や辞書に大文字の「M」で書いてある… 滅茶苦茶♠️いや、この言い回し、ちょっと日本語文としては何じゃろ?でしょうね。原文は後で確認してみよう。(2022-2-18追記: the sort of mess that copy-books and dictionaries spell with a big "M“ だった)
p44 アメリカの都会には英国風の下宿はない… 賄いつき下宿屋か、朝食さえ出ない貸間のどちらかだ♠️ここで言う「英国風の下宿」ってどんなイメージなんだろうか。(2022-2-18追記: 原文There are no "diggings" in American cities. … rooms in a boarding-house where meals are served, or in a room-house where no meals are served—not even breakfast. 英Wikiの“Boarding house”には221Bがboarding houseの一例とされていた。Webで調べたがdiggingsのイメージが全然わからない)
(2022-2-17記載; 2022-2-18追記)
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(1) The Empty House (短篇集1906)「空家」: 評価8点
ジム・ショートハウスもの。
これは傑作。何と言っても冒険に誘う女性のキャラが良い。ジムとの会話と話の流れも上出来。
(2022-2-17記載)
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(3) Smith: an Episode in a Lodging-House (短篇集1906)「スミス —— 下宿屋の出来事」: 評価5点
登場人物のキャラが立っていないので、平凡な感じ。舞台はエディンバラ。医学生時代の回想。
(2022-2-18記載)
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(4) Keeping His Promise (短篇集1906)「約束」: 評価6点
こちらも舞台はエディンバラ。上記同様、医学生の話。面白い流れ、でもエンディングには不満。そのあと、が肝心だと思うのだが…
p102「シグネット」の貧乏な物書き(poor Writers to the Signet)◆訳注「米国のペーパーバックSignet Booksか」だけどN.A.L. Signetシリーズは1948年スタート… 流石に無理っしょ。リーダース英和「Writer to the Signet [スコ法] 法廷外弁護士」
p103 奇妙なのは、帽子を冠らず(strangest of all, he wore no hat)◆男が外では帽子をかぶるのが当たり前の時代
p106 パンの塊… スコーン… マーマレード… ココア(loaf, scones, … marmalade… cocoa)◆簡単な食事。オートケーキ(oatcake)もあったようだ。
p115 ドアは内側に錠が差して(door was locked on the inside)
(2022-2-18記載)
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(5) The Strange Adventures of a Private Secretary in New York (短篇集1906)「秘書綺譚」: 評価8点
ジム・ショートハウスもの。
原タイトルにはNew Yorkとある。都会モンが田舎で大冒険、という含意もあるのかな? 盛り上げ方とメリハリが好き。
本書(2)と同様、冒頭に「僕」が出てくる。内容から考えて(2)よりも後年だが、少なくとも10年以上前の話、ジムは20代後半か30代くらいの感じ。となるとS&Wのミリ・ポリ(1899年ごろから)は間に合わない。じゃあコルトのダブル・アクションM1878かなあ。(銃を特定できるヒントは全くないので評者の妄想です)
(2022-2-17記載)
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(6) With Intent to Steal (短篇集1906)「窃盗の意図をもって」: 評価6点
ジム・ショートハウスもの。
語り手「私」は本書(2)(5)に出てくる「僕」とは違うような感じ。まだ良くショートハウスを知らない若者(歳はショートハウスの半分くらい)のようだ。ショートハウス40代の話なのだろう。
語り口と盛り上げ方は良いが、ちょっと乗り切れなかった。
(2022-2-18記載)
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(11) The Transfer (初出Country Life 1911-12-9)「転移」
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(9) The Heath Fire (初出Country Life 1912-1-20)「野火」
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(10) The Destruction of Smith (初出The Eye-Witness 1912-2-29)「スミスの滅亡」
The Eye-Witnessはヒリア・べロックが創刊し、GKチェスタトンの弟セシルが編集していた週刊誌か。英Wiki “G. K.'s Weekly“参照。
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(8) The Goblin’s Collection (初出The Westminster Gazette 1912-10-5)「小鬼のコレクション」
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(7) Tongues of Fire (初出The English Review 1923-4)「炎の舌」


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