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[ SF/ファンタジー ] 時間旅行者のキャンディボックス |
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ケイト・マスカレナス | 出版月: 2020年09月 | 平均: 7.50点 | 書評数: 2件 |
東京創元社 2020年09月 |
No.2 | 7点 | SU | 2023/08/22 22:46 |
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女性が活躍するタイムパラドックスミステリで、タイムマシンが開発され、三百年先の未来まで行けるようになった世界。時間の犯罪を防ぐため、時間旅行は巨大民間組織(コンクレーヴ)のエージェントにのみ許可されていた。しかしある日、密室で老女の射殺死体が発見される。彼女は誰なのか、誰にどうやって、そしてなぜ殺されたのか。
面白いのは、タイムマシンのロジックはもはや説明されず、それよりも時間旅行を繰り返す人の心理描写に重きが置かれていること。主要人物はみんな女性。精神を病んでしまい、タイムマシン計画からはじき出されたバーバラ。バーバラの孫で、女性の恋人のいるルビー。遺体を発見したオデットは、イギリス人であるにもかかわらず、肌の色とセーシュル出身という出自から部外者として扱われ続ける。疎外感と失望の味を知った三人が、三様に物語に絡んでくる。 直接的に女性の問題を描いた物語ではないが、登場人物のひとりの愛読書がジョン・ウィンダム、オリヴィア・E・バトラー、ジェイムズ・ティプトリー・ジュニアという三人なのが示唆的。 |
No.1 | 8点 | 糸色女少 | 2021/06/25 23:07 |
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1967年の英国で4人の女性科学者がタイムマシン開発に成功したという改変歴史設定の時間もの。
300年先までの時間旅行が実用化されるものの、時間管理局的な組織が技術を独占、システムが硬直化してゆく。それに反旗を翻す人々のドラマをはさみつつ、密室で発見された身元不明の銃殺死体をめぐるフーダニット+ハウダニットが焦点になる。SF的には原題が示す通り、時間旅行がもたらす心理的な問題にスポットを当てたのがキモ。時間SFのメルクマールになりそうな一冊。 |