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[ SF/ファンタジー ]
恋するアダム
イアン・マキューアン 出版月: 2021年01月 平均: 7.00点 書評数: 1件

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新潮社
2021年01月

No.1 7点 猫サーカス 2021/06/04 16:21
恋のライバルは、超高性能人工知能を搭載したアンドロイド?男女の三角関係という普遍的なテーマを、現代的にポップに捉え直したこの作品はその実、人間の本質や倫理観をあぶりだす意欲作だ。自動運転車が走り、数学者チューリングが存命の、架空の1982年イギリス。30歳過ぎのチャーリーは、遺産で得た大金で最新アンドロイドを購入する。それはアパートの上階に住むミランダを振り向かせるため。子を育てるがごとくアダムの設定を共同で行い、縁を強めようという作戦だ。ミランダとの接近は成功する。だが大誤算はミランダがアダムと身体の関係を持ったこと。アダムは性の愉悦を知ると同時に、アイデンティティーをめぐって苦悩するように。さらに、電源のオンオフで生殺与奪を握るチャーリーとの熾烈な闘いも始まる。アダムは、ビッグデータとつながり、瞬時に最適解を導く頭脳と人型を有する。家事もすれば、肌も温かく、詩も読む彼を無慈悲に扱えるか。一方で、嘘をついたり不正を容認したりできないアダムに、人間的な情緒は通用するのか。ストーリーは、秘密を抱えたミランダの魂の救済という問題に及び、複雑さを増す。アンドロイドを制御可能と考えることと、正義感のために法を犯すことの類似が語られていく。人間の鏡像としてのアンドロイドは、人間の愚かさも白日の下にさらす。作者らしい皮肉の効いた、スリリングな物語だ。


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イアン・マキューアン
2021年01月
恋するアダム
平均:7.00 / 書評数:1
2003年04月
贖罪
平均:8.00 / 書評数:1