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[ 短編集(分類不能) ] 巴里の憂鬱 |
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シャルル・ボードレール | 出版月: 1951年03月 | 平均: 7.00点 | 書評数: 1件 |
新潮社 1951年03月 |
岩波書店 1966年01月 |
No.1 | 7点 | クリスティ再読 | 2021/05/09 08:29 |
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かなりの部分をポオと共有する詩人の詩集である。「悪の華」はアレクサンドラン詩形による定型詩だから本当に「詩」なんだけども、こっちは一見小説と違わない散文詩である。だったら「巴里の憂鬱」をショートショート集として読んで、いけないのだろうか?
なので、実験(苦笑)。ポオの短編を読むくらいの感覚で本書を読んで...いやイケるのである。洒落たちょっとした「話」がある詩がかなり含まれている。「悪魔派」なボードレールである。幻想、ホラー、犯罪に関わるネタが随所に見られ、いや立派なショートショート集である。 たとえば... 「けしからぬ硝子屋」...運命を見、それを識り、それを試みるために、「悪戯(ミスティフィカシヨン)」をする話。わざわざ六階の部屋に硝子屋を呼びつけて、その帰りに窓から花甕を落としてその硝子屋が背負ったガラスを割る 「妖精の贈物」すべての嬰児のために妖精たちが「才能、器量、幸福な偶然」などなどをプレゼントする場で、ついそれを貰い損ねた子供に与えられた贈り物は? 「悲壮なる死」王に対する陰謀を企んだ一味に参加した、王ご寵愛の道化役者ファウンシールに対して、王が与えた死の罰とは? 「寛大なる賭博者」詩人は魔王サタンと行を共にし、賭博で魂を巻き上げられるが、そのかわりにサタンから貰ったものは? 「紐」画家のマネの話として。マネがモデルに使っていた少年が、画家の叱責で首吊り自殺した。その母は子が自殺に使った釘と紐を画家から貰い受けるが... 「意気な射手」射的場を訪れた夫婦。夫を嘲る妻に「ね、そら、ごらん、あの右の方の、鼻を空にむけた、気位の高そうな顔をした人形ね。さて、そこで、僕はあいつをお前だと考えるよ。」そして彼は眼をつむって引金を引いた。人形の首が発止と飛んだ... などなどなど。ちょいとイケる話が連続する。さすがはポオの後継者。詩だって、じゅうぶんにミステリだ。 |