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[ サスペンス ] 競売ナンバー49の叫び |
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トマス・ピンチョン | 出版月: 1992年11月 | 平均: 6.00点 | 書評数: 1件 |
筑摩書房 1992年11月 |
筑摩書房 2010年04月 |
新潮社 2011年07月 |
No.1 | 6点 | クリスティ再読 | 2020/05/06 13:08 |
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DJを夫にするエディパは、自分が億万長者のピアス・インヴェラリティの遺言執行人に指名されていたことを知る。ピアスはかつての愛人という縁もあるわけで、エディパは、サン・ナルシソに赴いて弁護士のメツガーと一緒に、ピアスの財産整理と遺言執行を行うことになった。その中で、エディパは数々の奇妙なしるしを目にする。それはトライステロあるいはWASTEという名と、消音器をつけたラッパで表章される「影の郵便組織」を暗示していた。その組織はヨーロッパで最初の郵便事業を営んだチュールン・タクシス家とも関わりがあるようで、そのことを暗示する劇を上演した男とエディパは知り合うが、海に入水して自殺し、エディパの夫は精神科医から処方された薬によって人格が変貌する。その精神科医は発狂してエディパを人質にした立てこもり事件を起こす...エディパの周りに起きる奇妙な事件たちはすべてこのトライステロが糸を引いているのだろうか、それともピアスの大がかりな冗談なのか? ピアスの遺産にあった、トライステロの実在を証拠立てる一枚の偽造切手のオークションに、未知の人物が入札した。エディパは切手オークションの始まりを告げる「競売ナンバー49の叫び」を待ち受ける...
はい、ちゃんとプロットが要約できるね。だからさ、そんなに恐れることはないんだよ(苦笑)。一種の調査小説だから、広い意味でミステリに入ることは間違いなし。アクティブな事件も結構起きるし、エディパの行動を追っているから、ダイナミックと言えばダイナミックな話。 けどね、そりゃピンチョンさ。「誰が何をしている」なミクロではしっかり意味が通った話だが、暗合やら連想やら引用やらで、コンテキストが頻繁に中断し再結合されていくから、「ミクロ」と全体的なプロットになる「マクロ」が明晰でも、中間レベルが極めて晦冥。まあだからあまり考えこまずに、次々と繰り出されてくるネタのシュールさ、豊饒さにびっくりしながら読んでいくのがいいだろう。起きる事件はユーモラスなものが多くて、ニヤリ、爆笑も頻繁。言ってみれば「1ページに50コマくらいあって、びっちり書き込まれたマンガ」みたいなもの。読み解くのにはややパワーが要るけど、一旦ノってしまえば、楽しめる小説。 (ホントは「フーコーの振り子」をGWにやろうと思ってたんだけど、長いんで時間的余裕がなさそうだ...でこっちに振り替え。同じような小説といえば、まあそうなんだよね) |