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[ サスペンス ]
The Orange-yellow Diamond
J・S・フレッチャー 出版月: 2005年11月 平均: 5.00点 書評数: 1件

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Alan Rodgers Books
2005年11月

No.1 5点 mediocrity 2019/11/27 08:46
『ミドルテンプルの殺人』の翌々年、1921年発表の長編。全39章。

場所はロンドン・パディントン。
貧乏作家のスコットランド人Lauristonは、ついに親が残してくれた金も尽き、同じ下宿人のMelkyに相談し親戚の質屋を紹介してもらう。その日の店番は老主人ではなく孫娘のZillah(Melkyのいとこ)。無事父の時計を質に入れ、当面の生活費を確保する。
Lauristonはその金で過ごすが、届くはずの原稿料の小切手がなかなかやって来ないので再び金欠に。
仕方なく今度は母の形見の指輪2つを持って質屋に向かう。今日もZillahが店番だといいなと思って店を覗くが誰もいない。店に入って奥の部屋を見ると、店主と思われる老人が殺されていた。ただでさえ疑われる第一発見者であるが、彼が持参した指輪が店にあった指輪に酷似していたため、彼は文句なしの容疑者筆頭になってしまう。
容疑を晴らすため、Lauristonと彼を慕う人々が協力して真犯人捜しに奔走する・・・・

『ミドルテンプルの殺人』同様、畳みかけるようにストーリーが進行する。相変わらず証人が都合の良い事実を知りすぎていることが多いが、そこは気にしないでおきます。
Melky、Zillahを含む数人がユダヤ人であるが、この作品ではかなり好意的に書かれている。Lauristonが主人公だと思っていたが、いつの間にかMelkyが主役になっている。
逆に、後半出てくる中国人と日本人には差別的というかステレオタイプ的というか、「何をしでかすかわからない奴ら」と言った感じの扱いである。中国人2人はChen Li、Chang Liとおそらく存在する名前だろうが、日本人男性Mr.Yadaの下の名前はMoriで、29章のタイトルはMr.Mori Yadaである(笑)。
それを除けばまずまずかと思ったが、最後ページ数の都合なのか、未解決で投げ出した事件が一つあるので減点。日本の何人かの量産作家と同じく、最後どうするか決めないで書き始めるタイプだったんだろうな、この人。


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