皆さんから寄せられた5万件以上の書評をランキング形式で表示しています。ネタバレは禁止
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[ その他 ] グレート・ギャツビー |
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F・スコット・フィッツジェラルド | 出版月: 1974年06月 | 平均: 6.00点 | 書評数: 1件 |
早川書房 1974年06月 |
新潮社 1989年05月 |
集英社 1994年10月 |
中央公論新社 2006年11月 |
光文社 2009年09月 |
集英社 2013年04月 |
No.1 | 6点 | 弾十六 | 2019/10/15 06:07 |
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1925年出版。小川 高義 訳の光文社古典文庫(2009)で読了。原文と野崎訳と村上訳とこの訳を比較した便利な論文(吉岡泉美)がWebにあり見てみると、小川訳は語順重視の簡潔な文章。野崎訳が冗長に思えるほど。(一番長いのは大抵村上訳)
一人称は「私」。野崎・村上は「僕(ぼく)」ですが、ひとかどの男を目指す若者はそんな甘え口調を選ばないと思いました。(もちろん中身は未熟なのですが。) 実直な翻訳で読むのに邪魔になりませんが、ちょっと詩情に欠けるか。まーでも締まりのない文章よかずっとまし。(←どの口で言う?) かつてハヤカワ文庫NV(橋本 福夫 訳、こちらも「わたし」)で読みましたが、内容は忘却の彼方。映画(1974)を見たのが先だったような。(ソフトフォーカスだけが強烈な印象。) 読んでみたら、ある意味、意外な展開の物語。おまえら頭空っぽか、と言いたくなります。そして若さ。はかなく消え去ってしまうという苦い感傷が、読後に長く残ります。 やっぱりこれはミステリじゃないけど、このムードはチャンドラーやウールリッチに通じます。なのでミステリ・ファンにもお薦め。(これ稲葉 明雄さんが訳してたらかなり良い感じだったのかも。) 歌は以下が登場。BGMにどうぞ。 Sheikh of Araby(1921) music: Ted Snyder, lyrics: Harry Smith & Francis Wheeler The Love Nest(1920) music: Louis A. Hirsch, lyrics: Otto Harbach Ain't We Got Fun(1921) music: Richard A. Whiting, lyrics: Raymond B. Egan & Gus Kahn Three O’Clock in the Morning(1919) music: Julián Robledo, lyrics(1921): Theodora Morse The Rosary(1898) music: Ethelbert Nevin, lyrics: Robert Cameron Rogers 以下トリビア。ページはKindle版によるもの。 現在価値の換算は米国消費者物価指数基準(1921/2019)で14.34倍、1ドル=1550円。 p66/3208 月80ドル: 12万4千円。古ぼけた安普請のバンガローの家賃。数人で生活可能な家。 p66 フィンランド人の家政婦: 後の章で、黒人が白人運転手でリムジンを乗りまわしてたり、ギリシャ人が軽食の店(coffee joint)をやってたり。多国籍な米国です。 p97 フットボール… 強力なエンド(one of the most powerful ends that ever played football): 古いアメフトルール(1960年代以前)では、守備も攻撃も兼務し、ラインの両端に並ぶのがエンド。現在のDE(Defensive End)とTE(Tight End)を兼ねたポジション。素早い身のこなしが出来るパワフルで大柄な男のイメージ。 p125「秘密会」(Senior Society): Yaleには6つのsenior society(Skull and Bones, Scroll and Key, Berzelius, Book and Snake, Wolf’s Head, & Elihu)があって、三年次の終わりにそれぞれ15人が入会を許される仕組みらしい。 p300 サタデー・イブニング・ポスト: 当時5セント(77円)、約100ページ。作者の短篇を掲載してたので楽屋オチですね。初掲載はTopsy Turvy(The Saturday Evening Post 1920-2-21 as “Head and Shoulders”) フィッツジェラルドなら根掘り葉掘り調べ尽くされてると思うから、私の知りたかったポスト誌の原稿料がどこかに書いてあるかも。 p438 十ドル: 15504円。子犬(エアデール)の値段。 p648 若いイギリス人: 米国人に取り入ってる姿が描かれてます。 p1023 ルイス式軽機関銃(Lewis gun): 1913年開発。第一次大戦時の持ち運べる機関銃の代表格。(飛行機用の機関銃としても活躍。) 弾丸を入れる円盤がカッコ良い。.30-06スプリングフィールド弾(英国仕様は.303 British弾)47発を連発可能。ライフル弾なのでトンプソンSMG(1919年開発)より遥かに射程が長い。ただし給弾時の故障が多かった。 p1132 一九一九年のワールドシリーズ: 有名なブラックソックス事件。 p2669 食った分が四ドル: 6202円。安食堂でお腹いっぱい食べた感じ。 p2702『ホパロング ・キャシディ』(Hopalong Cassidy): カウボーイ小説。Clarence Mulford作、1910年出版。「1906年」のメモを書くのは無理がある。 p2714 もうタバコをすわない、かまない(No more smoking or chewing): 噛みタバコ?ガムの可能性あり?この訳では何のことか分からなかった。 p2714 一日おきに入浴する(Bath every other day): 米国人には珍しくのか。 |