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[ 本格 ] 殿方パーティ サム・バージ警部&チャールズ・ハーゲン警部補 |
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ウィリアム・クラスナー | 出版月: 1958年01月 | 平均: 4.00点 | 書評数: 1件 |
東京創元社 1958年01月 |
No.1 | 4点 | 人並由真 | 2019/04/07 03:40 |
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(ネタバレなし)
アメリカのどこかの州。当地・エヴァグリーン街の一角にある「ローマン・ホテル」の周辺で、下着姿の若い娘が重傷で意識を失っているのが発見された。娘=ダーリーン・ラバーンは、ベーカリーでケーキを包装する21歳の店員だったが、その夜ホテルで開かれた男性たちの遊興のための集会「殿方パーティ」に招かれていたことが判明した。事件性を検分後、単に事故で上の階から転落したのだろうと警察が判断。それと前後して、当の娘は病院で昏睡したまま息を引き取る。だがこの件に不審を感じた地元のベテラン警部サム・バージはパーティの主催者や参加者に接触し、隠された真実を探ろうとするが……。 1957年のアメリカ作品。創元の旧クライム・クラブで翻訳刊行され、その後創元文庫そのほかにも入っていない一作。巻末の植草甚一の解説によると作者の四本目の長編で、第一作に登場したバージ警部とその部下のチャールズ・ハーゲン警部補の事件簿第二弾とのこと。 退屈、という下馬評はどっかで見ていたような記憶もあるので当初からそのつもりで読み出したが、残念ながらその覚悟を上回る(下回る)さらに面白みのない話だった……。 物語はバージ警部を第一の主役、殿方パーティ(要は商売女やらハントした素人女やらを連れ込んで同じ屋根の下で楽しむ合同セックス集会)を主催した保険会社の中堅外交員で36歳のマザコンっぽい男ジョン・ランドール・バロウズを第二の主役としてほぼカットバックで進行、さらにハーゲン警部補やバロウズの同僚、性的関係のある女たちなどの断片的な描写が随所に組み込まれるが、一体どこをポイントにミステリとして読者の興味を惹きたいんだよ、という感じで実に盛り上がらない。いや事故なのか殺人なのか最後まで判然としないという趣向にしたって、もう少し絞り込んでテンションを高めていく作劇というのはきっとあると思うんだけど。 おかげでラストにちょっとだけ開陳される、用意されていた意外性は実際にはかなり小ぶりなものなんだけれど、ソレでも、ああ、一応はマトモなミステリっぽいことしてくれるんだな、と期待値が大きく下回ってしまった段階から評価が上がった。本当に少しだけど(涙)。 この掴み所のない感じが当時のアメリカの冷戦や朝鮮戦争を展望した時代性の反映とか、すんごい評もあるみたいだけど(どっかでそういうことを言っている御仁もいるそうである)、それはいささか牽強付会に過ぎるというものでは……と個人的には思う。少なくともこういうミステリでそこまでややこしいメッセージ性を忍び込ませることは誰も考えてないんじゃないかと思うんだけど。 |