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[ 警察小説 ]
アンタッチャブル
エリオット・ネス 出版月: 1962年01月 平均: 6.00点 書評数: 1件

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早川書房
1962年01月

早川書房
1973年04月

No.1 6点 クリスティ再読 2019/01/27 22:52
1960年代のポケミスの最後の広告ページには、よくノンフィクション中心でNFに当たるハヤカワ・ライブラリーの広告が載っていて、そのトップが本作で馴染みがあったね。もちろんこれ、アメリカのTVシリーズが大ヒットして、これが日本でも放送されて人気を集めたことによるわけだが、本作はその原作、というかアル・カポネと対決したFBIの捜査官エリオット・ネスの自伝である。だからノンフィクション...ということにはなるのだが、どうやら実際には結構話を盛ってるらしい。
禁酒法下のシカゴは、夜の大統領アル・カポネが築いた帝国に支配されていた。政治家・司法機関さえも買収され、カポネの暴力とカネの力に対抗するものはいないかに見えた。シカゴの財界が作る「秘密六人委員会」は、カポネの税務監査と同時に、酒類取締官だったエリオット・ネスの提言を入れて、少数精鋭のFBI特別捜査官によるアルコール取締を行うことになった。ネスが率いた10人の捜査官は買収不可能で手強い「アンタッチャブル」と呼ばれた。
という話である。小説仕立てなのだが、小説として下手クソなあたりが、逆説的なリアリティを感じる。ネスとその部下たちによる地道なアルコール醸造工場の摘発・閉鎖や、輸送ルートの遮断が中心なので、描かれる捜査は本当に地味である。が、そういう地味さが評者は面白い。ネス自身への襲撃は数回あるが、殉職は1人だけ。意外でしょ。最終的にはカポネを追い詰めたのは脱税の捜査だが、アンタッチャブルの戦いも、カポネの収入を断って大きなダメージを与えたことには違いない。
あと本作というと、デ・パルマの映画があるけどね、これってさ昔のTV人気作品の映画化のハシリみたいな作品...ってイメージだったね。でこういう劇的・感動!とか期待すると原作は全然ダメなんだけどね...評者とかさ原作の地味さの方が何か好ましいよ。
(あとハヤカワ・ライブラリーは「ダイヤモンド密輸作戦」とかやりたいなあ)


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エリオット・ネス
1962年01月
アンタッチャブル
平均:6.00 / 書評数:1